お医者さんと治そう 慢性頭痛

[緊張型頭痛について/富永ペインクリニック]

緊張型頭痛について

富永ペインクリニック

患者さんへのメッセージ

医学博士 富永 喜代 先生

「あなたの頭痛は本当に緊張型頭痛ですか?」
思わぬ疾病が隠れていることがあります。
正しい診断を受けるからこそ、正しい治療を受けることができるのです。
自己流の対策に不安や不満があるのなら、症状を悪化させる前に、ぜひ専門の医師に診てもらいましょう。

緊張型頭痛の症状について教えてください
緊張型頭痛は、肩や首がこりを伴って、頭を締めつけられるような鈍い痛みがあるのが特徴です。慢性頭痛の中では最も多く、子どもから高齢者までどの年齢層でもみられます。
しかし、一般的で最も多い病気のため、肩や首がこるからといって「自分は緊張型頭痛だ」と自己判断している方も大勢いらっしゃいます。「片頭痛」でも首がこりますし、「頸椎椎間板ヘルニア」「頸椎椎間関節症」「むちうち」などの疾患でも首や肩の痛みがあります。
また、「このぐらいの痛みだったらなんとか頑張れる」などと思い、緊張型頭痛を放置していると他の疾病を発症することもあります。

緊張型頭痛を放置しているとどんなことが起こりますか?
首や肩の筋肉のこりが続くと筋肉の間を走る血管が狭くなります。すると筋肉は低血流、低酸素となり、栄養が不足した状態が続きます。すると豆腐が高野豆腐になるように、ボロボロの筋肉になってしまうのです。また、いつも「痛い」「つらい」などのストレスが続くと、交感神経が優位になった状態となり、全身の血管を縮め筋肉を固く縮こまらせます。これによって、手足の冷えや自律神経のバランスが崩れることにより、全身のだるさなどの症状がでることもあります。
また、痛みが慢性的に続く緊張型頭痛の方の中には、毎日のように鎮痛薬を飲むことによって薬物乱用頭痛になってしまうこともあり、注意が必要です。

緊張型頭痛の原因は何ですか?
緊張型頭痛は、身体的ストレスと精神的ストレスがいくつも重なることによって起こると考えられています。
身体的ストレスとは、たとえば長時間のパソコン操作や、就寝時の合わない枕など、不自然な姿勢を長い間続けることで、首筋から肩にかけての筋肉が収縮することによってこった状態となり、頭痛を誘発します。仕事や家庭内でのトラブルなどの精神的ストレスも、神経や筋肉の緊張を高めるため、頭痛の誘因となります。

診察の流れについて教えてください
問診票に頭痛の経過を詳細に記載してもらいます(何歳くらいから頭痛があるか、月に何回位起こるか、服用している薬、月経の際に頭痛は起こるかなど)。
実は緊張型頭痛だと思っている人の中には、「片頭痛」など他の疾病が隠れている場合が多く、患者さんの症状をしっかりお聞きして診断します。

治療法について教えて下さい
「規則正しいリズムをご自身で作ること」が緊張型頭痛の一番の予防法であり治療法でもあります。例えば、お仕事でパソコンの作業をする方は、1時間に1回は休憩をとり、ストレッチなどをして筋肉をほぐしましょう。日本頭痛学会が推奨している頭痛体操は2分でできるのでお勧めです。可能であれば日常生活に運動を取り入れましょう。運動することによって、脳の中にドーパミン・セロトニンなどの心を落ち着かせる物質がでると言われています。
ビタミンB2やマグネシウムの多い食材を取り入れた和食も頭痛予防に効果があるといわれています。
マッサージやピラティス、岩盤浴などご自身に合う方法を探して、実践していくのは大切です。しかし、良くならない場合に、市販の薬を2倍飲むなど自己流の治療でどんどん悪化させている方も大勢いらっしゃいます。一般的で最も多い病気だからこそ、そこに隠れている原因がなおざりになっているのです。月に2回以上頭痛発作があって、市販薬を10日以上飲んでいる人は、正しい治療を受ける必要があります。
富永ペインクリニック・外観富永ペインクリニック
愛媛県松山市此花町1-23 豊田ビル2F
TEL:089-921-7711
http://www.tominaga-clinic.net/
医学博士 富永 喜代

「慢性頭痛」は立派な病気です。頭痛の専門医に診てもらえれば、痛みをコントロールすることができます。
「頭痛で病院にいくなんて・・・」などと思わずに、日常生活に支障がでる頭痛があれば、我慢せずに頭痛外来を受診しましょう。