網膜剥離/糖尿病網膜症などに網膜硝子体手術を実施している病院 - 病院・医院・薬局情報

網膜硝子体手術とは

硝子体は、水晶体より奥にある眼球の大部分を占めるゼリー状の組織で、眼球の形を保ったり、中に入る光を屈折させたりする役目をしています。

硝子体が様々な原因で、網膜を引っ張ったり、濁ったり、出血することによって、視力障害を引き起こします。
網膜硝子体手術は、この硝子体に起こった疾患を治療する目的で、眼内の出血や濁りなどを硝子体と一緒に除去する手術です。

硝子体手術は白内障と異なり、手術後の視力は手術前の病気の状態によって大きな差があります。
手術が必要となったら、視力回復のために、なるべく早い段階で手術を受けることが大切です。

網膜硝子体手術の流れ

1. 麻酔
   手術は局所麻酔で行います。眼の消毒をした後に眼の下の部分に麻酔の注射をします。
   痛みに過敏な患者さんには、術中に麻酔を追加することもあります。
2. 白目に小さな穴をあける
   白目の部分に針金のような細い手術器具を出し入れするために、約0.5ミリ程度の小さな穴をあけます。
3. 硝子体をカッターで切除して、きれいなかん流液と置き換える
   硝子体と呼ばれる透明のゼリー状の組織を硝子体カッターできれいに取り除き、きれいなかん流液と置き換えていきます。
4. 各病状に合わせた処置を行う
   網膜上に張った膜をピンセットのような器具でめくったり、増殖膜と呼ばれる分厚い膜をハサミで切り取ったり、網膜にレーザーを照射したりと必要に応じて処置を行います。
5. 目の中を気体で満たす
   網膜剥離や黄斑円孔などの疾患は、かん流液を気体に入れ換えて手術を終えます。

手術後は白目が赤くなりますが1週間程度で元通りになります。
目の中に気体を入れた場合には、術後数日間うつむき姿勢が必要になります。

網膜硝子体手術の主な適応疾患

◆黄斑上膜

網膜の中心にある黄斑と言われる部分に膜がはる病気です。

-黄斑上膜の原因
ほとんどの場合、加齢が原因です。

-黄斑上膜の症状
視力が低下したり、物が歪んで見えたりします。

◆黄斑円孔

網膜の中心部の黄斑に穴があく病気です。

-黄斑円孔の原因
ほとんどの場合、加齢が原因です。

-黄斑円孔の症状
視野の中心が見えなくなります。進行すると著しく視力が低下します。

◆硝子体出血

硝子体に血液がたまる病気です。

-硝子体出血の原因
糖尿病網膜症、網膜はく離、高血圧、加齢性の変化(硝子体はく離)、網膜静脈閉塞症、動脈瘤の破裂などがあげられます。

-硝子体出血の症状
出血が少ない場合は、黒い小さな点や虫のようなものが見える「飛蚊症」があらわれます。
出血が多くなると、大量の墨を一気に流したような見え方になります。
さらに出血量が増えると霧がかかったように見える「霧視」があらわれて、最終的には、明るさと暗さしかわからないほど視力が低下します。

◆糖尿病網膜症

糖尿病の合併症として起きる目の病気です。

-糖尿病網膜症の原因
網膜の血管は細いため、糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、徐々に血管がつまったり変形したり、出血を起こすようになります。
出血によって視界が狭くなったり、網膜に十分な栄養が届かなくなったりして、視力低下や最悪の場合、失明につながります。

-糖尿病網膜症の症状
初期の段階では自覚症状がほとんどありません。
進行すると、眼がかすむ、視野が狭くなる、視野の一部が暗くなる、視力が低下するなどの症状があらわれます。
さらに、放置していると視力が著しく低下して、失明する危険があり、手術を行っても視力の回復が困難な場合があります。

◆網膜剥離

眼底に一面に広がる薄い膜状の組織である網膜が網膜色素上皮から剥がれてしまう病気です。

-網膜剥離の原因
加齢や糖尿病網膜症などの一部の病気や、頭部・眼球への物理的ショックが原因で起こります。

-網膜剥離の症状
初期には、点状の黒い影が細かく見えるような「飛蚊症」の症状や、視野の一部が見えなくなったりします。
進行すると、視力が著しく低下して、放置していると失明することもあります。