不応性貧血(骨髄異形成症候群) - 病院・医院・薬局情報

骨髄異形成症候群(MDS)とは、血液をつくる造血幹細胞に異常が起こり、

• 異常な造血幹細胞が自分のコピーを増やして異常な形態の血液細胞を作り出す
• 正常な血液細胞が減少する

疾患です。

3種類の血液細胞(赤血球、血小板、白血球)のうちのいずれか、もしくは全てに形成異常が現れ、さまざまな症状が出ます。
どの細胞に異常が生じたかによって症状は異なり、複数の症状があらわれることがあります。
このように、幅広い症状が集まっていると考えられていることから「骨髄異形成症候群」と呼ばれています。

60歳以上で発症することが多く、女性よりも男性の発症頻度が高くなっています。

また、骨髄異形成症候群が進行すると、急性骨髄性白血病に移行しやすいという特徴があります。

骨髄異形成症候群の分類

• 赤血球、白血球、血小板の異常が、いずれかであるか複数か
• 芽球(造血幹細胞が血球に分化する過程で未成熟な細胞)の割合
• 染色体の異常
  などにより骨髄異形成症候群は9つに分類され、それぞれが違った特徴を持っています。

骨髄異形成症候群の症状

骨髄異形成症候群は、赤血球、好中球、血小板の3種類の血液細胞のうち、いずれかまたは、すべてに異常が起こることにより症状があらわれます。

【赤血球の異常に伴う症状】

赤血球が減少した状態が貧血です。
主な症状として

• だるさ
• 疲れやすい
• 立ちくらみ
• 息切れ
• 動悸
• 頭痛
• めまい
  など

【白血球の異常に伴う症状】

感染症にかかりやすくなります。
主な症状として

• 発熱、咳、のどの痛みなど風邪の諸症状

【血小板の異常に伴う症状】

出血しやすくなります。
主な症状として

• ぶつけた記憶がないのに青あざができる
• 歯茎出血
• 鼻血
• 月経による出血が止まらない
  など

骨髄異形成症候群の分類に合わせ、上記の症状はバラバラに出ることもあれば複数の症状が一緒に出ることもあります。

骨髄異形成症候群の原因

骨髄異形成症候群の原因ははっきりわかっていません。
ただし、

• がんに対する抗がん剤治療
• がんに対する放射線治療

の数年後に、副作用として発症することがあります。これを「治療関連骨髄異形成症候群(MDS)」といいます。治療を行うことで、骨髄の遺伝子に傷がつくことがわかっています。

骨髄異形成症候群の治療方法

骨髄異形成症候群では、病状に応じて治療を行います。

主な治療法

【支持療法】

貧血や免疫力の低下などの症状を緩和する療法です。
症状に応じて

• 輸血療法
• 薬物療法
• 抗菌薬や抗真菌薬の投与
  などが行われます。

【化学療法】

血液中の芽球(造血幹細胞が血球に分化する過程で未成熟な細胞)が多い場合には、抗造血器悪性腫瘍剤や抗がん剤の投与による化学療法を行います。

【造血幹細胞移植】

型の合うドナーの造血幹細胞を移植する治療法で、骨髄異形成症候群を治癒できる唯一の方法です。
最初に、化学療法や全身に放射線を照射して、異常が生じた造血幹細胞を破壊し、その後正常な造血幹細胞を移植して造血機能の回復を目指します。