膀胱がんの原因・症状・治療法と予防のポイントを解説
医師紹介
膀胱がんとは
排尿に関わる臓器である膀胱に悪性腫瘍ができる疾患です。膀胱がんにはいくつかの種類がありますが、約90%は膀胱の内側を覆う粘膜(尿路上皮)から発生します。65歳以上の高齢者に多く、また男性の発生率は女性の約3倍とされています。
原因
リスク要因には、主に以下のようなものがあります。最も大きなリスク要因は「喫煙」で、喫煙者は非喫煙者の約3倍のリスクがあるとされています。
〇 主なリスク要因
- 喫煙
- 発がん性物質を含む化学薬品や染料にさらされる職業
- 遺伝的要因
など
症状
主に、以下のような症状があります。特によくみられる症状が、肉眼で見てもわかる血尿(肉眼的血尿)で、痛みをともなわないことが特徴です。
〇 主な症状
- 血尿
- 頻尿
- 排尿時の痛み
- 残尿感
- 急な尿意
など
検査・診断
尿検査や腹部超音波(エコー)検査、尿道から内視鏡を挿入して膀胱内の腫瘍の有無を確認する検査(膀胱鏡検査)などを行います。このような検査でがんが疑われた場合は、腫瘍を採取して進行の程度を調べるTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)や、がんの深さや広がりなどを確認するためのCT検査やMRI検査、骨シンチグラフィ検査などの画像検査が行われます。
治療・治療後の注意
主に「TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)」「膀胱内注入療法」「膀胱全摘除術」「薬物療法」があります。がんや全身の状態、年齢、意向などによって検討され、複数の治療方法を組み合わせて行われることもあります。
TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)
検査でもあり、外科的治療のひとつでもあります。尿道から内視鏡を挿入し、膀胱内の腫瘍を切除します。この切除した腫瘍を使って、がんの進行度を調べ、その後の治療方針を検討します。
膀胱内注入療法
BCGや抗がん剤などの薬剤を膀胱内に注入する治療です。膀胱の粘膜で留まっている浅いがん(非筋層浸潤膀胱がん)の再発や進行を防ぐ目的で行います。
膀胱全摘除術
腹腔鏡による手術やロボット支援手術、腹部を切開して行う開腹手術によって、周囲のリンパ節も含めた膀胱をすべて摘出する方法です。膀胱内の粘膜で留まらず、筋層まで達しているがん(筋層浸潤性膀胱がん)の場合は第一選択となる治療です。膀胱摘出後は、尿管や腸の一部を使って、人工膀胱や尿を体外に排出するための出口(ストーマ)を作るなどして新たな尿路が作られます。
薬物治療
抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬などを使った治療です。がんの状態やほかの臓器に転移している場合など、がんを治すための手術(根治手術)が難しい場合に検討されます。膀胱全摘除術と組み合わせて、術前や術後に行われることもあります。
予防
膀胱がんの最大のリスク要因は喫煙です。さらに、禁煙をする期間が長くなるほど、膀胱がんの発生リスクが下がっていくことがわかっています。そのため喫煙をしている場合は、禁煙をすることが有効です。
また、喫煙習慣のある高齢者や職業上、発がん性物質を含む化学製品や染料などにさらされている場合は、年1回程度の定期的な尿検査が推奨されます。
医師紹介
横浜市立みなと赤十字病院や横浜市立大学附属病院など、複数の基幹病院の泌尿器科に勤務。米国カルフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)泌尿器科への留学や、横浜市立大学附属病院前立腺低侵襲センター准教授などの要職を務め、2024年に上大岡はやし泌尿器科クリニックを開業。専門分野は、前立腺がんをはじめとした前立腺疾患、男性の性機能障害。前立腺がんの先進医療である「密封小線源治療(ブラキセラピー)」においては、2000例以上の施術実績を持つ。モットーは「患者さんに優しい医療」。専門的かつ豊富な臨床経験で地域医療に貢献する。