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食道がんの原因・症状・治療法と予防のポイントを解説

公開日: 2020年12月02日
更新日: 2024年12月27日

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瀬尾 雄樹医師
栃木県足利市

食道がんとは

食道に悪性の腫瘍が発生する疾患です。食道とは、喉から胃までをつないでいる臓器です。周囲は肺や心臓、大動脈、気管など、重要な臓器に囲まれており、リンパ管も豊富に存在しています。そのため、食道がんは、比較的早い段階でほかの臓器に広がったり、リンパ節への転移を起こしたりしやすいという特徴があります。特に、60歳以上の男性に多いがんです。

原因

リスク要因には、主に以下のようなものがあります。特に、喫煙と飲酒はリスクが高く、その両方の摂取がある場合は、さらにリスクが増加するとされています。

〇 主なリスク要因

  • 喫煙
  • 飲酒
  • 栄養不足
  • ビタミン不足
  • 非常に熱い飲食物の日常的な摂取
  • 肥満
  • 逆流性食道炎

など

症状

早期の段階では、症状がないことが多いです。進行するにつれて、以下のような症状があらわれます。

〇 主な症状

  • 胸の違和感(チクチクする、しみる など)
  • 飲み込みづらい
  • 体重減少
  • 声が枯れる
  • 胸の痛み
  • 背中の痛み

など

検査・診断

まずは、内視鏡検査やバリウムを使ったレントゲン検査で、腫瘍の有無を確認します。そこで腫瘍が確認できた場合は、内視鏡で組織の一部を採取して生体検査が行われます。

これらの検査で食道がんと確定した後は、治療方針を検討するために、がんの深さや位置、転移の有無などを調べる検査が行われます。これらの検査は、CT検査やMRI検査、PET検査、超音波検査、超音波内視鏡検査など、主に画像検査が行われます。

治療・治療後の注意

主に、「内視鏡治療」「外科的治療」「放射線療法」「化学療法」があります。

内視鏡治療

内視鏡でがんを取り除きます。がんが小さく浅い、早期の食道がんが対象です。予想以上にがんが深かった場合や取り残しがある場合には、ほかの治療を追加で行うことがあります。

外科的治療

腹腔鏡による手術 または 胸部/腹部を切開して行う開胸/開腹手術です。がんのある食道部分と転移の可能性のある周辺のリンパ節を切除します。切除した食道部分は胃や腸を使って再建します。がんの広がりによっては、喉や胃など、周辺の臓器の一部も切除することがあります。

放射線治療

腫瘍のあるところに向けて放射線を照射する治療です。放射線のあてられる範囲にがんがおさまっている場合や痛みなどの症状を緩和させる目的などで検討されます。化学療法(抗がん剤)と組み合わせた「化学放射線療法」として行われることや、そのほかの治療と組み合わせて行われることもあります。

化学療法

抗がん剤を使った治療です。切除が難しい場合や、内視鏡や外科的治療の補助的な治療として検討されます。放射線治療と組み合わせた「化学放射線療法」として行われることもあります。

予防

主なリスク要因は喫煙と飲酒であるため、禁煙や飲酒を控えることが推奨されます。そのほかにも、栄養やビタミン不足、肥満など食生活に関わる要因も多いため、健康的な食生活などでそれらを改善することも予防につながります。

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医師紹介

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瀬尾 雄樹医師
栃木県足利市
千葉大学医学部卒業

2006年 東京歯科大学市川総合病院臨床研修医、2008年 国立病院機構霞ヶ浦医療センター、2009年 足利赤十字病院、2010年 慶應義塾大学医学部外科学教室 一般・消化器外科助教授、2013年 足利赤十字病院外科、2015年 立川病院外科医長、2018年 足利赤十字病院外科副部長。日本消化器外科学会消化器外科指導医、日本外科学会外科指導医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡指導医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病指導医・評議員、日本内視鏡外科学会内視鏡外科技術認定医・ロボット支援手術プロクター、日本腹部救急医学会腹部救急認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本臨床外科学会評議員。専門分野は大腸、肛門系疾患。