過敏性腸症候群の原因・症状・治療法と予防のポイントを解説
医師紹介
過敏性腸症候群とは
検査をしても異常がなく、特別な持病などもないにもかかわらず、3か月以上、断続 もしくは 継続的に腹痛や便秘、下痢などの症状が起こる疾患です。
原因
明確な原因はわかっていませんが、主に以下のようなことがリスク要因となり、腸の状態や機能に影響を与えることで起こると考えられています。また、30代以下の若年者がかかることが多い傾向があります。
〇 主なリスク要因
- 心理的な問題(ストレスや不安など)
- 胃腸炎
など
症状
主な症状には以下のようなものがあります。下痢や便秘などの便通に関する症状は、下痢 もしくは 便秘のどちらか一方のみの「便秘型」「下痢型」、両方の症状がある「混合型」、便通の症状はない「分類不能型」に分けられます。
〇 主な症状
- 腹痛
- 下痢
- 便秘
- おなかが張る(膨満感)
など
検査・診断
血液検査や尿検査、便を採取して行う便潜血検査、腹部レントゲン検査などが行われます。必要に応じて、大腸内視鏡検査が行われることもあります。これらの検査で特に異常が見つからず、以下の基準にあてはまる場合に、過敏性腸症候群の診断となります。
〇 RomeⅣ診断基準
最近3か月間のなかの1週間につき少なくとも1日以上、腹痛の症状があり、以下の2項目以上にあてはまること。
- 排便に関連する症状がある
- 排便頻度の変化に関連する症状がある
- 便性状(便の状態)に変化がある
治療・治療後の注意
主な治療には、「生活習慣の改善」「薬物治療」「心理療法」があります。
生活習慣の改善
〇 食事
腸の働きや便の状態を整える効果のある食物繊維や、腸内細菌のバランスを改善する効果のある乳酸菌やビフィズス菌を含む食品(プロバイオティクス)の摂取が推奨されます。食事習慣が乱れている場合は、規則的な食事の摂取へと見直すことや、十分に水分補給をすることも症状の改善が期待できます。
また、以下のようなものは腸の負担となり、症状を悪化させやすいため、控えたほうがよいでしょう。
脂質の多い食品や食事 / カフェイン / 香辛料 / 乳製品 など
〇 運動
適度な運動(ヨガやウォーキング、エアロビクス など)は、症状の改善が期待できるため、推奨されます。
薬物治療
下痢や便秘など、そのときの症状にあわせた薬が処方されます。主に、腸の働きや便の状態を整える飲み薬や、腸内細菌のバランスを改善する飲み薬などが使われます。
このような薬を使用しても症状が改善されず、ストレスや不安などの心理的な問題の影響が考えられる場合は、抗うつ薬や抗不安薬が使われることもあります。
心理療法
薬を使った治療に効果がなく、ストレスや不安などの心理的な問題の影響が考えられる場合は、心療内科や精神科での心理療法が検討されます。
予防
ストレスや不安などの心理的な問題がリスク要因のため、睡眠や休息を十分にとるなど、ストレスや不安などをできるだけ軽減させて過ごすことが予防につながります。そのほか、腸の状態や機能を正常に保つために、健康的な食事習慣や適度な運動習慣など、生活習慣を整えることも推奨されます。
医師紹介
長年、鳥取県内の医療機関に勤務し、地域医療に貢献。専門である消化器疾患や肝臓疾患、糖尿病などの生活習慣病をはじめ、心臓疾患や肺疾患など、幅広い分野の診療に携わる。日本消化器病学会指導医、肝臓専門医(日本肝臓学会)、総合内科指導医(日本内科学会)、プライマリ・ケア指導医(日本プライマリ・ケア連合学会)。専門分野は生活習慣病、消化器疾患をはじめとした内科一般。