内耳炎の原因・症状・治療法と予防のポイントを解説
医師紹介
内耳炎とは
耳の中は、外側から順に外耳、中耳、内耳に分けられます。このうち、中耳と内耳は鼓膜より奥に位置し、内耳は耳の中の最も奥の部分にあたります。内耳炎は、この内耳部分に細菌やウイルスが感染し、炎症を起こす疾患です。
原因
最も多い原因は中耳炎です。中耳炎がひどくなると、その炎症が内耳にまで広がることで、発症するリスクが非常に高くなります。また、脳のまわりを覆っている髄膜に炎症を起こす髄膜炎や、以下のようなウイルス性の感染症などによって、細菌やウイルスが内耳に侵入し発症する場合もあります。
〇 原因となる主な感染症
- インフルエンザ
- おたふくかぜ
- 帯状疱疹
など
症状
内耳には聴覚と身体のバランス感覚を保つための器官があり、この部分に炎症が起こると、主に以下のような症状が出ます。悪化すると、聴力低下(難聴)やめまいなどの後遺症が残る場合があります。
〇 主な症状
- 耳鳴り
- 難聴
- めまい(ぐるぐるするような回転性のもの)
- 耳だれ
- 吐き気
- 耳の痛み
- 発熱
など
検査・診断
耳の内部の炎症の状態や、めまいなどの症状の有無を確認します。内耳炎が疑われる場合は、内耳の状態や感染の程度などを確認するため、CT検査やMRI検査などの画像検査や血液検査、聴力検査などが行われることがあります。
髄膜炎による内耳炎が疑われる場合は、背中から髄液を採取して検査する腰椎穿刺(ようついせんし)を行います。
治療・治療後の注意
炎症に対しては、抗生物質やステロイド薬などが使われます。発熱や痛みなどの症状がある場合には、解熱鎮痛薬などが使われることもあります。
また、耳の内部に溜まった膿をだすために、鼓膜の切開(鼓膜切開術)や耳の奥の骨を削る(乳様突起削開術)手術が必要になる場合があります。
予防
中耳炎やウイルス性の感染症など、内耳炎の原因となる疾患を早く治すことがもっとも効果的です。内耳炎は、治療をしても聴力の低下やめまいなどの日常生活に支障をきたす後遺症が残る場合があるため、炎症が内耳に広がる前に適切な治療を受けましょう。
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医師紹介
2014年 北見赤十字病院。耳鼻咽喉科専門医(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)、がん治療認定医(日本がん治療認定医機構)、補聴器相談医(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。専門分野は頭頸部がん、頭頸部外科、内視鏡下甲状腺手術、甲状腺疾患。