二分脊椎の原因・症状・治療法と予防のポイントを解説
医師紹介
二分脊椎とは
胎児の背骨(脊椎)が正常につくられず、本来であれば背骨の中にあるはずの神経(脊髄)が、背骨の外に出た状態で生まれてくる疾患です。多くは、背中の中央から腰のあたりに発生します。
背中の皮膚の一部がなく、神経組織が身体の外に露出した状態の「開放性二分脊椎」と、神経組織は体内に収まっている「潜在性二分脊椎」に分けられます。「潜在性二分脊椎」は、多くの場合、背中の皮膚に奇形をともなっています。
原因
妊娠初期に、胎児の脳や脊髄のもととなる神経管が正常につくられないこと(神経管閉鎖障害)で起こります。この異常は、以下のような要因が複合的に影響して起こると考えられています。
〇 主なリスク要因
- 葉酸不足
- 抗てんかん薬の使用
- 糖尿病
- 遺伝
など
症状
主に、以下のような症状があります。
〇 主な症状
- 背中の皮膚の欠損や奇形
- 水頭症
- 足の麻痺やしびれ
- 足の痛み
- 足の変形
- 排泄機能障害(膀胱炎、頻尿、便秘 など)
など
症状が、生まれる前からある場合や成長にともない徐々に出る場合、無症状の場合など、あらわれる時期や重症度はさまざまです。
検査・診断
生まれてから、背中の皮膚の欠損や奇形、足や排泄に関連する特徴的な症状があるなど、二分脊椎が疑われる場合は、超音波検査やMRI、CTなどの画像検査が行われます。
生まれる前に、妊婦検診の超音波検査などで発見されることもあります。その場合は、確定診断や生まれた後の治療を検討するために、胎児の超音波検査やMRIなどの画像検査、母体の血液検査、羊水検査などが行われます。
治療・治療後の注意
生まれる前に診断された場合は、帝王切開での出産が推奨されます。また、生まれたらすぐに適切な治療ができるように、必要に応じて、新生児科や脳神経外科など、二分脊椎に対応できる医療機関への転院を検討します。
生まれたあとは、二分脊椎の種類によって、以下のような治療が行われます。
開放性二分脊椎
背中の皮膚の一部がなく、神経(脊髄)組織が身体の外に露出した状態のため、なるべく早い時期(生後48時間~72時間以内)に、露出している神経組織と皮膚を修復する手術をします。水頭症を合併している場合は、頭蓋骨の内側に溜まった髄液を排出する処置も行われます。
潜在性二分脊椎
背中の皮膚があり、神経組織が体内に収まっている状態のため、緊急の手術が必要とされることは少ないです。ただし、周辺部分との癒着などによって神経組織が引っ張られたり圧迫されたりする場合があります。このままでは、神経組織がダメージを受け、あらゆる症状の発生につながるため、手術でその癒着を取り除きます。
一度症状が出ると、手術をしても状態が改善しないことがあるため、症状が出た場合は、なるべく早く手術を受けることが推奨されています。また、1回の手術によって症状が改善をしても、成長とともに再発したり、異なる症状が出たりすることなどがあります。その場合は、数回にわたって手術が必要になることもあります。
予防
胎児の脳や脊髄のもととなる神経管を作るために必要な栄養素である葉酸の摂取が推奨されています。
ただし、神経管は、妊娠3週~4週の、妊娠したことがわかる前の時期につくられます。そのため、妊娠前から葉酸を摂取することが予防に効果的です。具体的には、妊娠1か月前~妊娠12週頃までを目安に、1日400μgの摂取が推奨されます。さらに、葉酸は通常の食品から摂取しづらいため、効率よく摂取できるサプリメントの活用が推奨されています。
また、母体の糖尿病や抗てんかん薬の使用もリスク要因であるため、糖尿病やてんかんにかかっている場合で、妊娠を希望する または 妊娠した際は、治療や薬の使用などについて、かかりつけ医や産婦人で相談をしましょう。
医師紹介
東京慈恵会医科大学附属病院での勤務を経て、国立成育医療研究センターなどの小児医療専門の医療機関にて研磨を積む。現在は、実父が開業した高橋医院の院長を務め、練馬区内を中心とした保育園医や中学校医、企業産業医など、地域医療を担う。東京慈恵医科大学小児科学講座元非常勤講師。小児科専門医(日本小児科学会)、「子どもの心」相談医(日本小児科医会)、地域総合小児医療指導医(日本小児科医会)。専門分野は小児科一般、小児保健。