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尿失禁の原因・症状・治療法と予防のポイントを解説

公開日: 2021年06月22日
更新日: 2025年01月07日

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林 成彦院長
神奈川県横浜市

尿失禁とは

膀胱に尿を留めておくことができず、自分の意志とは関係なく尿が漏れてしまう状態です。いわゆる「尿漏れ」と呼ばれる状態です。性別や年齢を問わずに起こる可能性がありますが、特に女性と高齢者に多くみられます。

原因

尿失禁にはいくつか種類があり、原因も異なります。主な種類と原因は以下の通りです。

腹圧性尿失禁

女性に多いのが特徴です。分娩や加齢、肥満などによって、膀胱を支える尿道括約筋や子宮を支える骨盤底筋が緩むことで起こります。

切迫性尿失禁

自分で排尿のコントロールができない状態です。急な尿意を感じて、膀胱が勝手に収縮してしまうことで起こります。脳や神経の疾患、膀胱容量の低下、前立腺疾患や加齢などが主な原因とされています。

混合性尿失禁

「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」の両方を起こしている状態です。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

尿がうまく出せないため(排尿障害)、常に膀胱が尿でいっぱいになり、あふれ出るように少しずつ漏れてしまう状態です。前立腺肥大症などにより尿の通り道(下部尿路)がふさがれて起こる場合と、膀胱が正常に収縮しないこと(神経因性膀胱)で起こる場合があります。

機能性尿失禁

排尿の機能に問題はないものの、認知症などの認知機能や運動障害などの身体機能が原因で尿を漏らしてしまう状態です。

反射性尿失禁

膀胱に尿が溜まっても尿意を感じず、勝手に排尿されてしまう状態です。脳の疾患や脊髄損傷などが原因で、尿意を正常に伝達できなくなることで起こります。

症状

基本的な症状は尿が漏れてしまうことですが、尿失禁の種類によっては、以下のように特徴的な症状があるものもあります。

腹圧性尿失禁

運動やくしゃみ、咳など、おなかに力を入れた瞬間に尿が漏れる。

切迫性尿失禁

急に尿意を感じる(尿意切迫感) / 我慢ができない / 頻尿 / トイレに間に合わず漏れてしまう / 冷たい水に触れる、水の音などの刺激で尿が漏れてしまう など

混合性尿失禁

「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」両方の症状があらわれる。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

尿がうまく出せない(排尿障害) / 継続して少しずつ尿が漏れる / 残尿感 / 頻尿 など

検査・診断

まずは症状をもとに尿失禁の種類を判断します。検査には、一般的な尿検査や血液検査をはじめ、基本的には、身体的に負担のかからない以下のような検査を優先して診断をします。

排尿日誌

排尿時間や尿量、尿失禁の有無などを数日間記録して、尿の状態や症状の特徴、傾向などを把握します。

残尿量測定

超音波(エコー)検査で、膀胱内の残尿量を測定や膀胱の形状、男性であれば前立腺の大きさなどを確認します。

パッドテスト

腹圧性尿失禁の診断に必要な検査です。水分摂取後に、尿を吸収するパッドをつけた状態で指定された動作や運動を行い、漏れた尿の量を測ります。

治療・治療後の注意

尿失禁の種類や症状の程度によって異なります。比較的 症状が軽い場合には、生活指導や薬物治療などの保存的療法が行われます。尿漏れの量が非常に多く、薬物治療で効果がみられない場合は、希望に応じて手術が検討されます。

生活指導

骨盤底筋を鍛える(骨盤底筋訓練) / 膀胱の用量を増やす(膀胱訓練) / 肥満・便秘などの改善 / 水分・カフェイン・アルコールなどの摂取量の見直し / トイレにすぐに行ける環境の確保 / 着脱しやすい服を身に着ける など

薬物治療

「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」には治療薬があり、飲み薬による治療が中心となります。

自己導尿・カテーテル留置

「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」で検討される治療です。膀胱にカテーテルを挿入して尿を排出させます。自身で定期的に挿入する方法(自己尿道)と、継続的に挿入したままにする方法(カテーテル留置)があります。

外科的治療(手術)

「腹圧性尿失禁」に対しては、尿道をテープで支える(TVT手術/TOT手術) または 骨盤の底の筋肉や線維組織(骨盤底)をメッシュ素材で補強すること(TVM手術)で、尿漏れが起こらないようにします。

重症の「切迫性尿失禁」に対しては、膀胱内視鏡を使って、膀胱内にボツリヌス毒素を注入する(ボツリヌス療法) または 排せつに関わる神経に継続的に電気刺激を与える器具を臀部に埋め込む(仙骨神経刺激療法/SNM)方法などがあります。どちらも、膀胱の収縮を抑えることで症状の改善が期待できます。

予防

尿失禁の種類にもよりますが、リスク要因として多くあげられるのは加齢や分娩、肥満です。そのため、加齢や分娩で傷んだ尿道括約筋や骨盤底筋を鍛える骨盤底筋訓練や、肥満の改善は予防に有効であると考えられます。

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医師紹介

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林 成彦院長
神奈川県横浜市
横浜市立大学医学部卒業

横浜市立みなと赤十字病院や横浜市立大学附属病院など、複数の基幹病院の泌尿器科に勤務。米国カルフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)泌尿器科への留学や、横浜市立大学附属病院前立腺低侵襲センター准教授などの要職を務め、2024年に上大岡はやし泌尿器科クリニックを開業。専門分野は、前立腺がんをはじめとした前立腺疾患、男性の性機能障害。前立腺がんの先進医療である「密封小線源治療(ブラキセラピー)」においては、2000例以上の施術実績を持つ。モットーは「患者さんに優しい医療」。専門的かつ豊富な臨床経験で地域医療に貢献する。