禁煙治療について知ろう!お医者さんと禁煙【医師監修】
ニコチン依存症は治療が必要な病気とされており、お医者さんに治療薬を処方してもらうことにより禁煙の成功率が高まります。
医師紹介
目次
タバコが体に悪いのはなぜ?
タバコの主な成分は、ニコチン、タール、そして一酸化炭素です。これらは吸収されやすいのが特徴で、口や鼻の粘膜・肺・皮膚から取り込まれ、毛細血管に流れ込み全身を回ります。
ニコチンは代謝が良く、最終的には尿で排出されますが、母乳などからも排出されます。タールは多くの発がん性物質が含まれており、体に蓄積される特徴があります。直接取り込まれる肺では肺がんを招き、そのほかでは血管を通して運ばれる各器官で発がん性物質として働きます。
一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結びつきます。通常、ヘモグロビンは酸素と結び付き、血液にのって各器官に酸素を運搬する働きをしていますので、それが阻害されると酸素欠乏の状態になります。このことで循環器をはじめとして、自律神経・脳・呼吸器といった系統のさまざまな疾患を招きます。
またニコチンとタールは本人が吸う主流煙より、たばこが燃えるときに立ち昇る副流煙に多く含まれています。そのため喫煙者本人よりも周囲の人の方が害が多いと言われているのです。もちろん妊娠中の喫煙は本人よりも胎児に影響があり、早産や流産・死産などの可能性も高くなります。
禁煙外来って?
お医者さんのアドバイスと禁煙補助薬による治療
禁煙外来では、医師が身体・精神的にサポートし、禁煙できるように導いてくれます。また医師のアドバイスと合わせて、禁煙補助薬を処方してもらえるので禁煙の成功率が高まります。
禁煙補助薬には貼り薬とニコチンを含まない飲み薬等があります。“ニコチンを含まない飲み薬”は、ニコチン切れて、イライラしたり落ち着きがなくなるなどの症状を軽くするだけでなく、タバコをおいしいと感じにくくする効果を併せ持っています。
治療全体の流れ
健康保険等を使った禁煙治療では、12週間で5回の診察を受けます。
初診時の問診では、治療法の説明の他、ニコチン依存度、喫煙の状況、禁煙の関心度などから健康保険等で治療が受けられるかをチェックします。
毎回の診察では、禁煙補助薬の処方を受けるほか、息に含まれる一酸化炭素(タバコに含まれる有害物質)の濃度を測定したり、禁煙状況に応じて医師のアドバイスを受けることができます。
健康保険等による禁煙治療
現在、健康保険等を使って禁煙治療が受けられるようになりました。
禁煙治療(自己負担3割として)は、処方される薬にもよりますが8~12週間で12,000円~19,000円程度です。
1日1箱喫煙する方なら、8~12週間分のタバコ代より保険診療で禁煙治療を受けた場合の自己負担額のほうが安くなる計算になります。
禁煙治療に健康保険等を適用するために必要なことは以下のとおりです。
(1) 前回の治療の初回診療日から1年経過していること。
過去に健康保険等で禁煙治療を受けたことのある方の場合、前回の治療の初回診察日から1年経過しないうちは、自由診療となります。なお、最終的なニコチン依存症の診断は医師が行います。
(2) 健康保険等が適用される「禁煙治療を受けるための要件」の4項目を満たしていること。
- ニコチン依存症を診断するテストで5点以上
- ニコチン依存症のチェック:【 1日の平均喫煙本数 × これまでの喫煙年数 = 200以上 】
- 1ヵ月以内に禁煙を始めたいと思っている
- 禁煙治療を受けることに文書で同意している
※保険適用の条件には施設の基準もありますので、受診する病院やクリニックが保険診療を行っているかどうかを確かめましょう。なお、保険適用外でも禁煙治療は受けられます。
「ニコチン依存症」という病気は意志の力だけで治せるものではありません。禁煙成功のために、禁煙外来を活用しましょう。
※当コラムは東京内科医会のご協力によって作成されています。
東京内科医会は、常に最新の医学知識を学び、最良の医療を実践する魅力を持った何かを主体に、診療を行っている医師の集まりです。