夏の胃の不調【医師監修】夏バテ…胃もたれ…胃痛…原因や対処法

この胃の不調は、夏バテと関係していることも多く、倦怠感や下痢、不眠などのさまざまな症状が同時にあらわれることもあります。
原因も、暑さに関連するものはもちろん、食生活や睡眠などの生活習慣が原因なことなど、さまざまです。原因から夏の生活習慣を見直して、胃の不調や夏バテの対策をしましょう。
医師紹介
目次
症状 - 胃の不調・夏バテ
胃の不調にはさまざまな感じ方や不快感がありますが、代表的なものには以下のような症状があります。
〇 胃の不調の症状
食欲不振 / 胃痛 / 胃もたれ / 胃が重い / 胃が苦しい / 胃がムカムカする / 胃の不快感 /吐き気 など
夏の胃の不調は夏バテと関係していることも多く、以下のように食欲不振や胃もたれなど、胃の症状をはじめとしたさまざまな症状があらわれることがあります。だたし、夏バテとは病名ではなく、夏の暑さからくるさまざまな体調不良の総称であるため、特定の決まった症状があらわれるといったものではありません。
〇 夏バテの症状
食欲不振 / 胃もたれ / 倦怠感 / 下痢 / 不眠 / 体力の低下 / 思考力の低下 / 意欲の低下 など
以上のような漠然とした胃の不調や夏バテに関係する胃の不調以外にも、「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」「逆流性食道炎」など、1年を通じて胃の不調につながる疾患があります。
胃の不調があらわれる代表的な疾患と主な症状
- 胃腸炎 / ストレス性胃腸炎
胃痛 / 胃の不快感 / 腹痛 / 下痢 / 吐き気 / 嘔吐 など - 胃潰瘍 / 十二指腸潰瘍
みぞおちの痛み / 背中の痛み など - 逆流性食道炎
胸やけ / 胃酸が口や喉まであがってくる / 胸がひりひりする など
原因 - 暑さ 夏バテ 自律神経の乱れ

夏バテとは、夏の暑さに身体がうまく適応できずに、さまざまな不調があらわれることです。
夏バテの大きな原因のひとつと考えられているのが、自律神経の乱れです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2種類の神経が寒暖にあわせて働くことで、体温を一定に保っています。
夏バテは、この、体温を調節するうえで重要な役割を担う自律神経が、暑さのせいでうまく機能できずに働きが乱れ、体温調節のバランスが崩れることで、胃の不調をはじめとしたさまざまな体調不良を引き起こすと考えられています。
そのほかの原因 - 冷房 冷たい飲食物 生活習慣
「暑さ」「夏バテ」「自律神経の乱れ」などのほかにも、夏の胃の不調には、以下のような原因が考えられます。
エアコン・冷房(クーラー)
夏の暑い屋外と冷房の効いた涼しい屋内を行き来すると、身体はその都度、温度や湿度の差に順応する必要があります。
そのため、温度・湿度に急激な差がある環境やそのような環境を頻繁に行き来することは、身体の調節機能を酷使し、体力の消耗や自律神経の乱れにつながり、そこから胃の不調へとつながっていきます。
また、温度・湿度が保たれた快適な環境に身体が慣れてしまうと、本来の体温調節機能が衰えて身体が冷えやすくなります。もちろん冷房が効きすぎた環境も身体を冷やす原因になります。
このような「冷え」は、血管を収縮させて血流が悪くなり、胃腸の動きを鈍くします。それが胃酸や胃粘液の分泌低下に繋がり、食欲不振や胃もたれ、下痢などの胃腸の機能低下が生じやすくなる原因となります。
冷たい飲食物の摂りすぎ
冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎは、胃腸自体を直接冷やしてしまいます。それにより、胃腸の働きが鈍くなって、消化不良や下痢などの原因になります。
また、冷たい飲み物や食べ物によって身体を冷やしすぎることは、血管を収縮させて血流が悪くなり、やはり胃腸の動きを鈍くします。それが胃酸や胃粘液の分泌低下に繋がり、食欲不振や胃もたれ、下痢などの胃腸の機能低下が生じやすくなる原因となります。
生活習慣の乱れ
不規則な食事習慣や睡眠不足などの生活習慣の乱れは、胃に負担がかかったり自律神経のバランスも崩れやすくなります。そうなると、そこから夏バテや胃もたれやなどの胃の不調が生じやすくなります。
予防・対処法 ポイントは 冷やさない 生活習慣の改善

夏の胃の不調は、特定の疾患からくるものではなく、夏の暑さや夏ゆえの生活習慣が原因になっている場合が多くあります。
そのため、胃や身体を冷やさない、自律神経のバランスを保つなど、思い当たる原因から夏の生活習慣を見直し、改善することが胃の不調の予防・対策につながります。
室温の調節 目安は温度差7℃以内 室温28℃程度
急激な温度変化は、体温調節などの身体の調節機能が対応しきれずに、さまざまな不調につながる原因になります。
身体に無理のない温度差は、夏場は5℃~7℃程度とされています。これを目安に室温が28℃程度、暑すぎず冷やしすぎない快適な室温を保ちましょう。
また、外出先などの自分では温度調節が難しい場所では、上着やひざ掛けになるようなものや小型扇風機、うちわ・扇子、冷感商品などを活用して体温調節をするのがよいでしょう。
■参考サイト
東京都福祉保健局 : 健康・快適居住環境の指針(冬の住まい方)」
環境省 : COOL CHOICE << 適正な室温とは >>
冷たい飲食物の摂り過ぎに注意
冷たい飲食物を摂りすぎて胃腸や身体を冷やすことは、胃の不調につながります。一方で、暑くなりすぎた身体を冷やし体温を下げるには、冷たい飲食物は効果的です。
そのため、暑さ対策で適度な量を摂ることは問題ありませんが、日常的には常温 または 温かい飲食物を摂るようにしましょう。
生活習慣の改善
不規則な食事習慣や睡眠不足などの生活習慣の乱れがあれば改善しましょう。
食事時間や飲食する物や量など、食事習慣が不規則だと胃に余分な負担がかかります。特に、食事を摂ってからすぐに寝てしまうと、胃酸が食道へ逆流しやすく、胃もたれの原因になります。できるだけ、規則的な食事間隔や消化によい飲食、適度な量を心がけ、胃に過度な負担がかからないようにしましょう。
また、疲れが溜まったままの状態は自律神経の乱れにつながるため、十分な睡眠をとり休息をとることが大切です。ただし、起床・就寝の時間が不規則だと、いくら長く睡眠をとってもほかの生活習慣が整いにくく、総合的な生活習慣の改善につながりません。できるだけ、規則的な起床・就寝を心がけ、睡眠リズムを整えましょう。
適度な運動
適度な運動は血行促進につながり、胃の動きをよくします。さらに、運動をして汗をかくことは、体温調節の機能を正常に保ち、自律神経のバランスも整いやすくなります。
涼しい時間帯のウォーキングや室内でできるストレッチ・軽い体操、日常でなるべく歩く・階段を使うなど、無理なくできる適度な運動をしましょう。
お風呂はぬるめのお湯で湯船に浸かる
38℃~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり(目安は10分以上)浸かってしっかり身体を温めると、血行促進につながり胃の働きをよくします。さらに、副交感神経が優位に働きリラックス効果、入眠効果も期待できます。
食べ物・飲み物で予防・改善
胃の不調や夏の暑さで、食が進まなかったり冷たいものばかり摂りがちかもしませんが、以下の注意点やおすすめの食べ物を参考に、胃に優しい食事習慣で予防・改善をしましょう。
胃に優しい・消化に良い飲食物を摂る
胃に不調があるときは、胃に優しく消化の良い飲食物を摂るようにしましょう。
おかゆ / うどん / 豆腐 / 卵 / 白身魚 / 脂肪の少ない肉 / じゃがいも / 大根 / かぶ など
たとえば、これらのような食材が消化に良いとされています。硬かったり冷たかったりすると逆効果なので、柔らかく調理されたものをなるべく温かい状態で食べるようにしましょう。
夏野菜・果物を食べる
トマト / ナス / きゅうり / ピーマン / オクラ / モロヘイヤ / スイカ など
夏野菜や夏の果物には、夏に特に必要な栄養素が豊富なものが多くあります。
具体的には、ビタミンCやビタミンA、ビタミンE、カリウム、カロテンなどが豊富なものが多く、それらを摂取することで、疲労回復や汗をかくことで不足しがちなミネラルの補給、紫外線によるダメージ軽減、むくみの解消などが期待できます。
また、水分をたくさん含み、身体を冷やす効果がある野菜・果物も多く、水分不足を補ったり身体にこもった熱を下げる効果も期待できます。ただし、過度な摂取は冷やしすぎから胃の不調などにつながるため、食べすぎないように注意しましょう。
このような食材を積極的に摂取して夏の体調管理をすることで、夏バテの予防・改善から胃の不調の予防・改善につながります。
胃が不調なときは刺激の強い飲食物の摂りすぎに注意
以下のような飲食物は、摂取しすぎると胃粘膜を痛めたり、胃液が分泌されすぎるなどして、胃痛や胃もたれなど、胃の不調の症状悪化につながります。胃に不調がある場合は、このような飲食物の摂取は控えましょう。
特に胃に不調がない場合は、過剰に摂取しない限り制限をする必要はありません。
〇 胃に刺激が強い主な飲食物
- お酒 / アルコール
- カフェイン(コーヒーなど)
- 炭酸飲料
- 香辛料(辛いものなど)
- 酸味の強いもの(お酢など)
- 油分の多い飲食物(揚げ物など)
など
一方で、これらの中には適度な量であれば胃に良い影響があるものもあります。具体的には、香辛料や酸味のあるものは食欲増進効果が期待できるため、食欲のないときは特に、積極的に取り入れてもよいでしょう。
薬 - 市販薬を使うときの注意点

胃の不調に関連する薬は、市販薬、処方薬ともにさまざまなものがあり、原因や症状によって適した薬が違ってきます。
症状があらわれて初期のころや、症状が軽い場合など、日常生活にそれほど支障がないようであれば、市販薬を試してみるのもよいでしょう。その際は、薬剤師のいる薬局・薬店で相談しながら、自身の症状に適したものを選ぶのがよいでしょう。
ただし、市販薬を使用しても以下のような場合は、特定の疾患や問題が原因となっている可能性もあるため、薬の使用を止めて医療機関を受診しましょう。
〇 市販薬の使用を止めて医療機関の受診を推奨
- 症状が改善しない / 悪化している
- 効果はあるが使用を止めるとぶり返す
- 2週間以上連続して使用している
など
また、薬だけで治そうとせず、食事や睡眠をはじめとした生活習慣の見直し・改善もあわせておこなうことが重要です。
病院に行ったほうがいい?受診の目安

胃の不調は身近な症状なだけに、医療機関を受診するタイミングがわかりづらいかもしれません。
症状が長く続いたり悪化しているような場合は、特定の疾患が原因になっている可能性もあります。我慢しすぎず、以下のような場合を目安に医療機関を受診しましょう。
症状が2週間以上続く
食欲不振 / 胃もたれ / 胃痛 / みぞおちの痛み など
症状が続く場合は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃酸の逆流など特定の疾患や問題が隠れている可能性もあります。2週間を目安に、症状が続く場合は消化器内科を受診しましょう。
黒い便がでる
胃や十二指腸などに出血があると、胃酸で血液が酸化して黒い便がでることがあります。黒い便がでた場合は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、がん などの可能性もあるため、早急に消化器内科を受診しましょう。
激しい痛みがある
はじめはたいしたことのない胃の不調でも、急に激しく耐えがたい痛みが生じることがあります。このような場合は、胃や十二指腸に穴が開く消化管穿孔(胃穿孔・十二指腸穿孔)などの可能性もあるため、早急に医療機関を受診しましょう。
歩けないほどの強い痛みがある場合は、救急車の要請や救急外来の受診も選択肢に入れた早急な受診が必要です。
発熱や黄疸をともなう
胃の周辺の痛みに発熱や黄疸などの症状をともなう場合は、胆石による胆嚢炎を起こしている可能性があります。このような症状があらわれたら早急に消化器内科を受診しましょう。
ほかにも、胆石による症状の特徴には、「みぞおち付近に痛みを感じる」「食後に痛みがでやすい」などがあります。正確には胃ではなく胆のう周辺の痛みであるため、胃の不調とは関連がありませんが、このように胃の周辺に症状があらわれることも多いため、胃の不調と勘違いする人は珍しくありません。さらに、胃の不調と自己判断をして受診が遅れると重症化する危険もあります。
これらに該当する場合は、痛みの強さに関わらず胆石が原因になっている可能性も考えられるため、同じく消化器内科を受診しましょう。
※ 初出の内容に改訂前の情報が含まれていたため、一部内容を修正しました。(2020年9月2日)
※当コラムは東京内科医会のご協力によって作成されています。
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