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【医師解説】忘年会シーズンは要注意!「たかが二日酔い」と我慢は危険!?二日酔い時の絶対NG行動などを紹介

公開日: 2025年12月12日
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師走は忘年会シーズンや年末年始の集まりなどで、お酒を飲む機会が増える時期でもあります。しかし、宴席だからとハメを外して飲みすぎてしまうと、待っているのが……つらーーい二日酔い。

そんな二日酔いは、そもそもなぜ起こるのか?また、二日酔いになってしまったときのNG行動や注意すべき症状について、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニックの安江千尋院長に解説してもらいました。

医師紹介

2009年防衛医科大学校医学科卒業。防衛医科大学校病院、自衛隊横須賀病院、自衛隊舞鶴病院などで内科・消化器内科診療に従事した後、がん研有明病院 下部消化管内科にて内視鏡診療・治療を専門に従事。2020年に同病院副医長に就任。2024年12月、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニックを開院。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医。

二日酔いはなぜ起きるのでしょうか?

二日酔いは、体内でアルコールが分解される過程で生じる「アセトアルデヒド」という有害物質が大きく関与しています

アルコールは肝臓でまず「アセトアルデヒド」に分解され、さらに無害な酢酸へと変換されますが、飲酒量が多いと分解が追いつかず、「アセトアルデヒド」が体内に蓄積します。これが吐き気、頭痛、動悸などの原因になります。

また、アルコールには利尿作用があり、脱水や電解質異常も二日酔いを悪化させます。

二日酔いの代表的な症状を教えてください。

二日酔いの主な症状には、頭痛、吐き気、胃もたれ、めまい、動悸、全身のだるさ、集中力の低下などがあります。胃の粘膜がアルコールで刺激されることで胃痛やムカムカ感が生じ、脱水や低血糖によって強い倦怠感が出ることもあります。

また、睡眠の質が低下することで、十分寝たはずでも疲労感が抜けにくくなります。症状の強さには体質や飲酒量、飲み方の影響が大きく関係します。

二日酔いを防止するにはどうすればいいでしょうか?

二日酔いを防ぐもっとも重要なポイントはシンプルで、「飲み過ぎないこと」です。その上で、空腹での飲酒を避け、脂質やたんぱく質を含む食事をとってから飲むと、アルコールの吸収が緩やかになります。

また、お酒と一緒に水をこまめに飲むことで脱水を防げます。短時間で一気に飲む「一気飲み」は厳禁です。さらに、睡眠不足の状態での飲酒も二日酔いを悪化させるため、体調管理も大切です。

二日酔いを少しでも早く治す方法を教えてください。

二日酔いの回復を早めるには、まず水分と電解質の補給が最優先です。水だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクが適しています

胃の不快感が強い場合は無理に食べず、少量ずつ消化のよいものを摂取しましょう。十分な休息と睡眠も重要です。頭痛がつらい場合はアセトアミノフェン系の鎮痛薬は使用できますが、肝臓に負担のかかる薬の併用は避ける必要があります。

二日酔いのときにやってはいけないNG行動があれば教えてください。

二日酔いのときにやってはいけないNG行動があれば教えてください。
二日酔い時の「迎え酒」は絶対にNG!

もっとも避けたいのは「迎え酒」です。二日酔いのときに再度アルコールを摂取すると一時的に楽に感じることがありますが、肝臓への負担がさらに増し、症状が長引く原因になります。

また、サウナに入ることもNG。二日酔いで脱水状態になっている場合に、そういった行動を行うと、めまいや失神の危険性があります。

胃が荒れている状態で刺激物や脂っこい食事を摂るのも症状悪化につながります。鎮痛薬の過剰使用も肝障害の原因になるため注意が必要です。

二日酔いが辛すぎる場合、病院に行ってもいいのでしょうか?

はい、無理をせず受診して構いません。吐き気や嘔吐が止まらない、水分が全く取れない、意識がぼんやりする、強い腹痛や胸痛がある場合は、単なる二日酔いではなく急性アルコール中毒や消化管出血などの可能性もあります

病院では点滴による水分・電解質補給や吐き気止めなどで楽になることが多く、安全に回復を目指せます。「たかが二日酔い」と我慢しすぎないことも大切です。

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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。