高齢者の寝られない・不眠 原因は?受診はするべき?

目次
高齢者の寝られない・不眠…原因は?
寄せられた質問から多く疑われた原因には、以下のような疾患などがありました。
疑われる疾患など
- うつ状態/うつ病
- 認知症
- 不眠症/睡眠障害
- 不安障害
受診は必要?
医師の回答のうち、約9割で「最寄りの医療機関での受診」が推奨されました。
受診を推奨される診療科として多くあがったのは、以下の診療科でした。
推奨される診療科
以下からは、実際にあった質問と医師からの回答を紹介します。
物忘れのような言動と不眠
最寄りの診療所・クリニックの「内科」または「心療内科」受診を推奨します。
久しぶりの帰省などだったのかもしれませんが、物忘れが進んで、眠れないような状態もあるようですね。認知症の症状が出始めてしまったのかもしれません。3か月に1回でも寝込んでしまうのも心配ですし、152cm/36kgと極端な低体重も気になります。
認知症の方は、睡眠や体内時計の調節に関わる神経伝達に異常が生じて、睡眠障害となることが多いとされています。ただ、まずは甲状腺ホルモン異常などがないかを、内科クリニックなどを受診して調べてもらってはいかがかと思います。特に問題がないなら、物忘れ外来などを受診してよく診てもらってくださいね。
最寄りの診療所・クリニック または 病院の「精神科」または「脳神経内科」「心療内科」受診を推奨します。
高齢者の不眠はよくある訴えですが、一般的に高齢者の必要睡眠時間は少ないと言われています。また不眠の場合でも、昼間にうたたねなどして、実質的に睡眠不足がない場合も多いです。ただ、本当にまったく眠れないのであれば、薬の使用も考慮することになります。
症状が不眠だけなら様子を見てもよいかもしれませんが、物忘れや認知症症状もあるようなので、病院受診を考慮してください。受診科は不眠や認知症も含め、専門科は精神科になります。基礎疾患のチェックのため、一度、脳神経内科などで診てもらってから、必要があれば紹介してもらうという方法も考えられます。
夜間の徘徊 認知症かお酒の影響か?
69歳の父について相談です。夜間や明け方になると、家の中を徘徊し始めます。何度もトイレに行ったり、家中の扉をかなりの音で開け閉めしたりしています。この症状は、おそらく半年から1年くらい前からだと思うのですが、最近は頻度も高くなり、とても不安です。
日中はそういう行動はないのですが、たまに自分のハンカチをどこに置いたのかわからなくなることは何度かありました。あと、量はわからないのですが寝る前にお酒を飲んでいるようです。
認知症の症状が出ているのか、それともお酒が関係しているのか。この場合はどうすればよいのでしょうか。
最寄りの診療所・クリニックの「精神科」受診を推奨します。
可能性としてはアルコール離脱によるせん妄が出現しているのかもしれません。あるいは、てんかんの複雑部分発作と、成人では珍しいのですが睡眠時遊行症も鑑別診断になろうかと思います。日中の様子を拝見しますと、認知症による症状とは考えにくいです。
お父様に異常行動のことを話して、できればその様子を動画に撮っておくとよいですね。そのうえで、睡眠医療の専門医を受診なさってみてください。お近くになければ、精神科でご相談なさるのもよいでしょう。
睡眠薬を飲んでも眠れないことがある
処方されている睡眠薬で眠れないことが時々あります。その時は、医師に止められていても睡眠薬を半錠足してしまいます。0時頃、睡眠薬を飲んで寝て、3時間おきにトイレで目が覚めます。
5時から7時に目が覚めたとき、もう少し寝たいのに眠れないことがつらく、お酒を飲んでしまいます。お酒を飲んですっきり起きられるときもあれば、午後も眠く、夕方また寝てしまったりします。
薬の量は処方されたものが本当に限界なのかどうかということ、昼間の眠気や時々ふらつくのは睡眠薬の副作用なのかということ、睡眠薬をもう50年飲んでいますが、物忘れや認知症につながることがあるかということです。いずれにしても、不眠症専門の先生に診ていただいたほうが、本人も納得して指示に従うのではないかと思い、ご相談した次第です。
最寄りの診療所・クリニックの「精神科」受診を推奨します。
87歳という年齢からすると、むしろ睡眠薬の量は多いです。朝方に飲酒しているのも悪く、これでは規則的な睡眠覚醒リズムを確立することはできません。
昼間の眠気やふらつきは、睡眠薬の副作用と考えられ、お酒を飲むことにより、相乗効果でさらに副作用が強く出る危険が大きいです。また、一般的には高齢者が睡眠薬を服用すると、認知機能に悪影響を与えますが、50年以上も服用なさっているので、影響は小さいかもしれません。
鎮静作用を持つ抗うつ薬や抗精神病薬を少量併用したり、睡眠効果のある漢方薬を併用したりなどの対策法があります。
最寄りの診療所・クリニック または 病院の「精神科」受診を推奨します。
直接、診察しないと正確には判断できませんが、加齢とともに睡眠時間は減少し、睡眠の質は劣化します。成人前の8時間から、120歳までに徐々に3時間に減少すると言われています。中途覚醒は1、2回あっても、再度眠ることができれば正常です。
不安だからといって、必要以上に睡眠薬を増やすと、認知機能低下をきたす危険はあります。それから、脳機能低下による昼夜逆転が生じている場合は、睡眠薬よりも、日中の明るい場所でのリハビリや、昼寝を15時までに30分以内にすることが大切です。
以上を踏まえたうえで、勝手な判断で過量服薬をするといったことはせず、詳細は主治医と情報を共有しながら、適切かつ気長に対処してください。
20年以上続く不眠症
20年以上、不眠症。最近は医師から処方された睡眠薬でも寝られない。量を増やしてもらったが、眠れない。ほかの薬も飲んでいて、副作用の可能性もある。より適切な治療を受けたいと本人は希望している。
最寄りの診療所・クリニック または 病院の「精神科」受診を推奨します。
通常の不眠であれば、処方変更をしながら治療を行いますので、精神科で対応可能です。現在のかかりつけ医によくご相談しながら、治療を継続なさってはいかがでしょう。
もし、かかりつけ医で治療が困難と話されているのであれば、睡眠医療の専門医を受診なさるのもよろしいかと思います。
最寄りの病院の「心療内科」または「精神科」受診を推奨します。
まず心がけることは、依存や耐性、離脱症状のあるベンゾジアゼピン系睡眠誘導剤と、ベンゾ系と共通の薬理作用の薬を避けることです。また、抗うつ剤の副作用を利用することなども避けたほうがよいでしょう。そして、依存性がなく、単に意識レベルを落とすのではなく、生体のオレキシンという覚醒物質に作動して、睡眠習慣を身につける補助剤であるレンボレキサントなどを求めてください。
睡眠習慣を正しながら、粘り強く、あきらめずに対処を続けることです。ご自身では、睡眠習慣を次のように正してください。
睡眠は、網膜が朝に日光の明るさを感知して体内時計がリセットされると、15時間程度のちに睡眠要求が生ずるとされます。また、午前1時に熟睡しているのが理想の睡眠とされますから、午後11時くらいに就寝されると、質のよい睡眠になるとされます。
そのためには、起床後すぐに陽光を浴びず、午前8時にその日初めての陽光を浴びて、体内時計をリセットする必要があります。そうすることで、15時間後の午後11時に、自然な睡眠欲求が生ずるとされます。
「午前8時にその日最初の陽光を浴びる」「午後11時に就寝する」習慣をとにかく続けることです。最後に、レンボレキサントなどは睡眠習慣が身についたら中止することは容易ですし、それが原則です。
夜に眠れず 歩行も不安定
相談は私の祖母のことです。2か月前から、歩くのが不安になり1日のほとんどを布団で横になって過ごし、歩くのもトイレなど必要最低限になってしまっています。立ち上がると足がかなり震えてしまい、素人目にも筋力が落ちていると感じます。2か月~3か月ほど前までは全然問題はありませんでした。
精神的なものなのか、睡眠もまともにとれず、一睡もしない日もあるそうです。食事も味を感じられず、楽しみがほぼない状態となってしまっています。
睡眠薬ではあまり効果がなく、むしろ薬の種類が増えすぎてパニック気味になってしまっています。友人に相談したところ「むずむず足症候群」や「重症筋無力症」などが当てはまるのではと言われました。確かに、夕方以降に症状が悪化したり、夜になるのが怖いと発言したりすることがありました。
最寄りの診療所・クリニック または 病院の「脳神経内科」または「脳神経外科」受診を推奨します。
特にきっかけもないようですが、そんなしっかりとされた方が、あっという間に終日、布団で寝たきりに近いような生活になられたとのことですから、慢性硬膜下血腫などを含む脳血管障害などが疑わしいかもしれません。
足に不快感が出るむずむず脚症候群で、終日寝たきりになる可能性は低いでしょう。重症筋無力症は、確かに力が入りにくくなる病気ですが、そもそも指定難病として稀な病気ですし、もう少し若い方に多い病気です。眼瞼下垂などが目立つ病気でもあるので、積極的に疑うような病状とも異なるように思えます。
お近くの脳神経外科や脳神経内科クリニックなどを受診してはいかがかと思います。
朝起きられず 夜眠れない 生活リズムが崩れている
叔母を通院させたいため、姪が相談しています。朝、起きられない。昼間もウトウトとなる。夜、眠れない。3年ぐらい同様の症状である。
生活のリズムが崩れているため、病院に通いたいが何科に行けばよいのかわからない。高血圧の薬と胃薬をもらうために長年、別の医院に通っている。
短時間睡眠で脳出血の可能性はある?
1年ほど前から鍼灸に通っており、自律神経が乱れているとのこと。数か月前から、寝つけるが、途中で起きてしまい、睡眠は3時間ほど。2、3週間前からは、背中にバキバキという痛みと肌の乾燥、寝汗、体温調節がきかないと感じる。2、3日前からは目のかすみがある。
短時間の睡眠で、脳いっ血などの可能性はあるか。
最寄りの診療所・クリニックの「内科」受診を推奨します。
記載いただいた情報で考える限り、脳卒中の症状は見当たりません。可能性としては、自律神経失調症が疑われますが、背中の痛みについては内臓疾患も否定はできません。
ご心配でしたら、医療機関で診てもらってもよいと思います。自律神経失調症ということであれば、漢方専門医を受診して、体質に合わせて調剤してもらうとよいかもしれませんね。せっかくなら漢方専門医にこだわって受診されるほうがよいでしょう。もちろん、保険もききます。
最寄りの病院の「内科」受診を推奨します。
ホルモンのバランスが乱れている可能性があります。一度、総合診療科で内科的な疾患の有無を確認されたらよいと思います。
内科的な疾患がなければ、睡眠のコントロールということになりますので、脳神経内科や精神科などで診ていただいたらよいと思います。
母のことです。1年振りに会って話をしたら、物忘れというか、ぼけてしまったのかと思う言動が見られました。体調もよくない、寝られないと言っていました。睡眠が浅いとか起きてしまうとかではなく、寝られないと言っていたのが心配です。
何年も前から、3か月に一度、寝込んでしまうこともあります。病院に行きましたが、原因がわからなかったようで、それ以来、病院は行っていません。病院に連れて行こうと思いますが、まず何科を受診すればよいかというご相談です。