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貧血の原因・症状・治療法と予防のポイントを解説

公開日: 2021年07月01日
更新日: 2025年01月31日

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松浦 喜房院長
鳥取県鳥取市

貧血とは

血液中の酸素を、全身へと運ぶ働きのあるヘモグロビンが少なくなることで、体内が酸欠状態になる疾患です。WHOでは、ヘモグロビン濃度が成人女性で12 g/dL以下、成人男性で13 g/dL以下の場合と定義されています。

原因

血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンと呼ばれるタンパク質が少なくなることで起こります。ヘモグロビンが少なくなる原因としては、鉄や葉酸、ビタミンB12などの栄養素の不足や、出血や疾患などが要因となり血液や赤血球自体が不足することでも起こります。

症状

ヘモグロビンは、呼吸によって取り込んだ酸素を全身へと運ぶ働きをしています。そのため、ヘモグロビンが不足すると体内が酸欠状態になり、主に以下のような症状があらわれます。ただし、これらの症状が必ずみられるわけではありません。特に貧血がゆっくりと進行した場合は、自覚症状がないこともあります。

〇 主な症状

  • 息切れ
  • 動悸
  • 倦怠感
  • 頭が重い
  • 頭痛
  • 顔色が悪い
  • 朝起きにくい
  • 首や肩のこり

など

検査・診断

症状などから貧血が疑われる場合は、血液検査や尿検査などによって、体内のヘモグロビンや鉄分の量を確認します。

治療・治療後の注意

鉄分不足が原因の貧血には、鉄剤を服用する鉄補充療法を行います。ただし、経口鉄剤(飲み薬)は吐き気や食欲不振などの副作用が出ることがあるため、状況に応じて静注鉄剤(点滴薬)での治療を検討します。また、ビタミンB12や葉酸が不足することで生じる貧血には、ビタミン剤などを注射や飲み薬で摂取し、治療を行います。

予防

血液をつくりだす栄養素である、鉄や葉酸、ビタミンB12を十分に摂取することが予防につながります。特に、鉄不足は最も多くみられる要因であるため、鉄分を含む食品を十分に摂取しましょう。具体的な目安としては、成人男性は1日約7.5mg、成人女性は1日約6.5mg、月経中はそれに加えて約4.0mgの鉄分の摂取が推奨されています。

食品に含まれる鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があり、ヘム鉄のほうが吸収されやすいという特徴があります。ヘム鉄は赤身の肉や魚、レバーなどに多く含まれ、非ヘム鉄は野菜や牛乳、卵などに多く含まれます。また、緑黄色野菜や果物に多く含まれるビタミンCは鉄分の吸収を高めます。このような動物性・植物性の食品をバランスよく組み合わせ、必要な栄養素を十分に摂取するのがよいでしょう。

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医師紹介

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松浦 喜房院長
鳥取県鳥取市
防衛医科大学校医学科卒業

防衛医科大学校病院や自衛隊中央病院、自衛隊阪神病院に勤務。その後、防衛医科大学校での血液学研究や、米国ブルック陸軍医療センターでの血液・腫瘍学研修などを経て、1992年に栄町クリニックを開業。鳥取県東部医師会会長や、鳥取県医師会代議員会議長を歴任するなど、地域医療の発展にも貢献。現在は、内科一般診療や在宅医療をはじめとして、産業医やスポーツドクター、警察医など、多岐にわたる医療活動に従事。血液専門医(日本血液学会)、総合内科専門医(日本内科学会)。専門分野は内科全般。