カンジダ腟炎の原因・症状・治療法と予防のポイントを解説
医師紹介
カンジダ腟炎とは
カビ(真菌)の1種であるカンジダが、腟に感染して増殖することで起こる感染症です。女性の性器感染症の中では日常的に起こる疾患です。腟に加え外陰部にも同時に感染することが多いため、カンジダ外陰腟炎とも呼ばれます。
原因
カビ(真菌)の1種であるカンジダは、人の体内や皮膚に日常的に存在する常在菌のひとつです。そのカンジダが何らかの要因で腟に感染し、増殖することで起こります。
カンジダが増殖する要因としては、免疫機能の低下に関連することが多く、最も多いのは抗生剤の使用です。そのほか妊娠や、糖尿病などの疾患、化学療法(抗がん剤)や放射線療法、免疫抑制薬の使用などによるものもあります。また、通気性の悪い状態など、不衛生が要因になることもあります。
症状
主な症状には以下のようなものがあります。
〇 主な症状
- 腟や外陰部のかゆみ
- おりものの増加
- カッテージチーズや酒粕状のおりもの
など
また、妊娠中にカンジタ腟炎にかかると、妊娠中は胎児への影響はほとんどありませんが、出産時には産道から新生児に感染する産道感染(母子感染)を起こす可能性があります。
検査・診断
症状などからカンジダ腟炎が疑われる場合は、腟の分泌物を採取し、カンジダ菌の有無を確認します。
治療・治療後の注意
抗真菌薬を使って治療をします。薬の種類には、腟剤や塗り薬、飲み薬があります。妊娠中も、基本的な治療は妊娠していない場合と同じですが、飲み薬の使用はできません。
腟剤は、腟洗浄をして清潔な状態にしてから、腟内に錠剤 もしくは 坐薬状の薬を挿入します。6回を目安に毎日行う方法と、週に1回行う方法があります。また、薬の挿入は、医療機関で行う場合と、自分自身で行う場合があります。
どの薬や方法を選択するか、治療回数、治療期間などは、症状や個人の希望などによって検討されます。
予防
カンジダが増殖するリスク要因を避けることが予防につながります。具体的には、抗生剤などの免疫機能を低下させる薬の使用をなるべく避けるなどです。
また、不衛生が要因になることもあるため、性器部分を通気性がよい状態にするなど、清潔に保つようにしましょう。ただし洗いすぎると、腟内の環境を保つ働きが崩れて、カンジダの増殖につながるため、力の入れすぎや石鹼の使いすぎに注意をして、適度に洗うようにしましょう。
医師紹介
群馬大学医学部附属病院産科婦人科に入局、子宮頸がんや卵巣がんなどの婦人科系腫瘍の治療や、ハイリスク妊娠・分娩を含む妊娠・出産に関わる診療に従事。その後も、桐生厚生総合病院や群馬県立小児医療センターなどの関連病院で幅広く臨床経験を積む。へき地拠点病院での勤務時には、地域の分娩を一手に担いながら、高齢者医療・介護や観光客の救急搬送対応など、総合的に地域医療を支えた。分娩を受け入れる施設が減り続けていることから、生まれ育った地域の産婦人科医療に貢献すべく2018年に岩宿クリニックを開業。産婦人科指導医(日本産科婦人科学会)、超音波指導医(日本超音波医学会)、周産期(母体・胎児)専門医(日本周産期・新生児医学会)、日本産科婦人科遺伝診療学会認定医、日本性感染症学会認定医、認定産業医(日本医師会)、母体保護法指定医(群馬県医師会)。専門分野は産婦人科。