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網膜剥離の原因・症状・治療法と予防のポイントを解説

公開日: 2020年12月16日
更新日: 2025年03月05日

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飯田 高志医師
兵庫県神戸市

網膜剥離とは

眼球の内側には、網膜という10層構造の薄い膜があり、見たものを映像としてとらえる働きをしています。この網膜に、何らかの原因でできた穴や裂け目(網膜裂孔)から、眼球内部の水分が入り込み、網膜が浮き上がった状態が網膜剥離です。網膜剥離を起こすと、その部分に当たった光を感じることができなくなるため、視野異常や視力低下などの症状があらわれます。

原因

網膜に物理的な刺激が加わることや、網膜組織が弱いことなどが原因で、網膜に穴や裂け目(網膜裂孔)ができることで起こります。網膜剥離を起こしやすくなる主な要因としては、以下のようなものがあります。

〇 主なリスク要因

  • 眼球の打撲
  • 加齢
  • 強度近視
  • 網膜の周辺部に薄い部分がある(網膜格子状変性)
  • 遺伝による眼の体質(家族が網膜剥離になったことがあるなど)
  • 遺伝性の疾患
  • 未熟児網膜症
  • アトピー性皮膚炎

など

アトピー性皮膚炎は、体質的に網膜組織が弱い部分があることや、目の周囲を掻いたり叩いたりする習慣がリスク要因となります。

症状

主な症状には以下のようなものがあります。

〇 主な症状

飛蚊症

視界に濁りや虫が飛んでいるように見える症状です。「墨汁が垂れている」「黒い線が見える」「リング状のものが飛んでいる」などのように表現されることもあります。

初期の頃からあらわれる症状ではありますが、加齢など、網膜剥離とは関係なく起こることも多い症状です。

視野欠損

網膜の剥がれた部分で光を感じることができなくなることで、視野が欠ける症状です。

光視症

眼球を動かしたときに、実際は光っていないのに、一瞬光を感じる症状です。明るいところでは気がつかないことも多いです。網膜剥離の前段階として起こります。

視力の低下 / 失明

網膜剥離の剥離が網膜の中心部まで進むと、視力が急に著しく低下します。適切な治療をうけずに放置すると、手術などをしても視力は回復せず、最終的には失明することもあります。
 
「飛蚊症の量が増える」「視野の欠損」の症状は網膜剥離を強く疑う症状です。また、状態の進行速度は眼の体質による個人差が大きく、時間単位で進行することもめずらしくありません。そのため、異常を感じた場合は早めに眼科を受診しましょう。特に「視野の欠損」に気づいた場合は、救急での受診が推奨されます。

検査・診断

網膜剥離が疑われる場合は、眼底鏡や眼底カメラなどを使った眼底検査で、網膜に剥離が起こっているかを確認します。このとき、眼球内部を診やすくするため、瞳孔を開く点眼薬(散瞳薬)が使われます。

治療・治療後の注意

症状の程度などによって、レーザー治療か手術による治療があります。

レーザー治療

網膜の剥離がほとんど起こっていないか軽度の場合は、網膜の穴や裂け目を囲うようにレーザー光線を当てて、剥離がそれ以上広がらないようにします。網膜の穴や裂け目が小さくても、浮き上がりが大きな場合は、レーザー治療のみでの治療はできません。

手術による治療

レーザー治療のみでは抑えられない状態まで進行している場合は、手術によって剥がれた網膜を元の位置に戻します。レーザー治療と併用されることもあります。

網膜剥離は、このような治療をしても一度の手術では治らないことや、網膜が弱い体質のため再発をすることがあり、再手術が必要になる場合があります。そのため治療後も、医療機関での定期的な経過観察が必要です。また、飛蚊症の増加や視野欠損などの視野異常が起こっていないか、セルフチェックを継続することも推奨されます。

予防

根本的な予防方法はありませんが、網膜剥離が起こる前や、剥離が小さい早期に発見ができれば、レーザー治療だけで治療を完了できることも多いです。そのため、網膜剥離のリスク要因に該当する要素がある場合は、無症状であっても、網膜に弱い部分や剥離を起こしやすい部分がないかの検査を受けることが有効です。

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飯田 高志医師
兵庫県神戸市
兵庫医科大学卒業

豊岡病院出石医療センター、豊岡病院、飯田眼科院長、赤塚クリニック。眼科専門医(日本眼科学会)。専門分野は眼科全般。