糖尿病になる年齢が若いほど「認知症リスク」が高まる?約31年間の追跡研究で分かったこと

近年、高血圧や糖尿病、肥満、脳卒中などの生活習慣病が、認知症の発症や進展に大きく関わっていることがわかってきています。なかでも糖尿病については、発症してからの期間が長い人ほど認知症のリスクが高まる可能性を示した研究があります。
さくらひだまり訪問クリニックの加藤久普院長の監修で解説します。
医師紹介
さくらひだまり訪問クリニック院長。東京大学理学部、名古屋大学医学部を卒業後、総合病院で内科や救急などの研鑽を積む。その後、慶應義塾大学精神・神経科学教室にて助教を務め、大学病院や都立松沢病院をはじめとする精神科医療の第一線で豊富な臨床経験を重ねる。さらに複数のクリニックで精神科および内科の訪問診療に深く携わった経験を活かし、東京都北区に当院を開院。現在は心身両面から地域に根ざした訪問診療を行っている。
目次
約1万人を31年間追跡、糖尿病と認知症の関係は?
ロンドンで実施された約1万人を対象とした研究では、およそ31年間にわたって追跡調査が行われ、糖尿病になってからの期間が長いほど認知症のリスクが高まることが示唆されました(※1)。
70歳の時点で糖尿病のない人の認知症発症リスクを「1」とすると、65歳以降に糖尿病を発症した人、つまり糖尿病発症から5年以内の人では、認知症リスクは「1.1倍」でした。
一方、61~64歳で糖尿病を発症し、発症から6~10年が経過している人では「1.49倍」。
さらに、糖尿病を発症してから10年以上が経過した人では「2.12倍」という結果でした。
糖尿病になってからの期間が長いほど認知症リスクが高く、糖尿病を発症した年齢が若い人ほど認知症のリスクが高くなるという結果が示されています。
※1:Amidei et al (2021). "Association Between Age at Diabetes Onset and Subsequent Risk of Dementia" JAMA. 2021 Apr 27;325(16):1640-1649. doi: 10.1001
糖尿病だけでなく、高血圧なども認知症に関係
認知症との関連が指摘されている生活習慣病は、糖尿病だけではありません。
高血圧や肥満、脳卒中なども、認知症の発症や進展に大きく関わっていることがわかってきています。
また、認知症のひとつである「アルツハイマー型認知症」では、高血圧や糖尿病が危険因子であることがわかっています。
「脳血管性認知症」についても、高血圧や糖尿病、脂質異常症など、動脈硬化を起こす病気が発症の危険性を高めます。
そのため、生活習慣病を予防したり、すでにある生活習慣病を適切に管理したりすることは、認知症予防という観点からも大切です。
糖尿病予備軍の人も生活習慣の見直しを
すでに糖尿病と診断されている人はもちろん、糖尿病予備軍といえる人にとっても、生活習慣を見直すことは認知症予防につながると考えられます。
認知症は高齢になってから突然意識するものではなく、それ以前からの生活習慣病とも関係しています。
糖尿病の予防や管理を、「将来の認知症を予防する」という視点からも考えてみることが大切です。
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。

