「痔だと思っていたら大腸がんだった…」放置すると命に関わるかもしれない体の異変とは?【医師解説】

では、どのような血便に注意すべきなのでしょうか。血便が起こる原因や受診の目安について、広島DS内視鏡・日帰り手術クリニックの藤解 邦生(とうげ・くにお)院長に解説してもらいました。
医師紹介

福岡大学医学部を卒業後、広島大学第一外科入局。関連病院で消化器がんの手術を主に担当。国内屈指の内視鏡検査・肛門手術実績を有する大腸肛門専門病院で勤務。日帰り手術についても実践を重ねた。現職では、不安を抱える内視鏡・手術患者に対し、「真心と醫心」でサポートするチーム医療を実践。不安と真逆の感動体験の提供を理念としている。
目次
放置すると命に関わる可能性がある症状について教えてください
血便は、放置すると命に関わる病気が隠れている可能性がある重要な症状です。

血便には、どのような重大疾患などが隠れている可能性がありますか?
大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎やクローン病などが原因のこともあります。

血便の原因として最も多いのは痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)ですが、最も注意すべき病気は大腸がんです。
大腸がんは日本人に増加しているがんの一つであり、初期には自覚症状がほとんどありません。そのため、血便を痔と思い込み受診が遅れることで、進行した状態で発見されることがあります。
また、大腸ポリープも血便の原因となることがあります。ポリープの一部は将来的に大腸がんへ進展する可能性があるため、発見時に切除することが重要です。
その他にも、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、大腸憩室出血、虚血性腸炎、感染性腸炎などが原因になることがあります。
重要なのは、血液の色や出血量だけで原因を判断することは難しいという点です。真っ赤な出血だから痔とは限りませんし、少量の出血だから安心というわけでもありません。実際に痔と大腸がんを同時に認める患者さんも少なくありません。
患者さん自身で原因を見分けることは困難であり、血便があった際には大腸カメラによる評価が最も確実な方法となります。
どのような場合に受診を検討すべきでしょうか?
血便がある以上、「痔かもしれない」ではなく、「大腸がんではないことを確認する」という考え方が大切です。

私は血便を認めた場合、一度は医療機関を受診していただきたいと考えています。
とくに40歳を過ぎて初めて血便が出た方、便潜血検査で陽性を指摘された方、血便を繰り返す方は、大腸カメラを積極的に検討していただきたいと思います。
また、便秘や下痢が続く、便が細くなった、腹痛がある、体重減少がある、貧血を指摘されたといった症状を伴う場合には早めの受診が必要です。
診療現場では「痔だと思っていたら大腸がんだった」というケースに遭遇することがあります。逆に、大腸カメラを受けた結果、痔だけと分かり安心される患者さんも数多くいらっしゃいます。
血便がある以上、「痔かもしれない」ではなく、「大腸がんではないことを確認する」という考え方が大切です。大腸がんは早期発見によって治療成績が大きく変わる病気です。血便を認めた場合は、自己判断で様子を見るのではなく、一度専門医へ相談することをおすすめします。
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。

血便というと「痔からの出血だろう」と考える方が少なくありません。実際に痔は血便の原因として非常に多い病気ですが、一方で大腸がんの初期症状として現れることもあります。
私たちが日々診療している中でも、「以前から痔があるので様子を見ていた」「痛みがなかったので気にしていなかった」という方から大腸がんが見つかることがあります。大腸がんは早期で発見できれば内視鏡治療や手術によって十分な治癒が期待できますが、進行すると命に関わる病気です。
とくに注意したいのは、痛みのない血便です。痔による出血でも痛みがないことがありますが、大腸がんも初期にはほとんど症状がなく、血便だけが唯一のサインであることがあります。
血便は「様子を見る症状」ではなく、「原因を確認する症状」です。たとえ一度だけであっても、軽視せず専門医に相談していただきたいと思います。