眠いのに眠れない!メンタルドクターが教える理由と入眠方法

医師紹介
大人と子どもの双方で、トラウマや愛着障害に心理療法的アプローチを用いる医師。これまでのべ3,000人以上の臨床に携わる。東京大学医学部附属病院精神神経科に入局後、東京警察病院や国立精神神経医療研究センター等を経て、児童精神科外来を3年間、トラウマ専門外来を2年間担当。著書『泣きたくなったら壁を押せ』(サンマーク出版、2026年)では、心理療法のプロセスを物語として描き、私たちの感情の奥にある“適応の物語”をたどった。その視点をともに探る場として、オンラインコミュニティ「しなここメイト」を主宰。cotree顧問医。産業医。日本小児精神神経学会所属。
Xアカウント:@maemae_med(まえまえ医師)
目次
眠いのに眠れないのはなぜ?科学的に理由を解説
睡眠は、眠気だけで決まりません。日中の疲れがあっても、ストレス、不安、考えごとで脳や体が緊張していると、眠りに入りにくくなります。これは専門的には「過覚醒」と呼ばれ、不眠に関わる重要な仕組みとして研究されています[1]。
つまり、「眠いのに、起きるスイッチが切れていない」状態です。さらに、眠れないままベッドで長く粘ると、脳が「ベッド=眠る場所」ではなく「考え込む場所」と覚えてしまうことがあります。
不眠症の治療では、CBT-Iという方法が重視されています。これは「不眠症に対する認知行動療法」のことで、眠れない悪循環を、考え方・行動・生活リズムから整える治療法です[2]。
眠いのに眠れないときの対処法1:ベッドで粘らない
眠れないときほど、「早く寝なきゃ」とベッドの中でがんばりがちです。ただ、そこで長く考え込むほど、ベッドが緊張する場所になってしまいます。
20〜30分ほど眠れない感覚が続く、または眠れないまま考え込み始めたら、いったん寝床を出ましょう。時計を見続ける必要はありません。部屋は明るくしすぎず、スマホは見ず、紙の本を数ページ読む程度にします。眠気が戻ったら、またベッドへ戻ります[2]。
眠いのに眠れないときの対処法2:翌朝の起きる時刻を固定する
眠れなかった翌朝は、昼まで寝たくなります。しかし朝に長く寝すぎると、その日の夜に眠気がたまりにくくなります。
まず固定するのは、寝る時刻ではなく起きる時刻です。たとえば平日7時に起きる人なら、眠れなかった翌日も7〜8時の範囲で起きる。昼寝をするなら昼過ぎまでに15〜20分程度にしましょう[3]。
眠いのに眠れないときの対処法3:考えごとは寝る前に紙へ出す
今すぐできる眠いのに眠れないときの対処法③:考えごとは寝る前に紙へ出す
布団の中で考えを止めようとすると、逆に頭が冴えることがあります。寝る前に5〜10分だけ、心配ごとを紙に出しましょう。
「気になること」と「明日やる小さな一手」を書きます。たとえば「メール返信が気になる→朝9時に1通だけ返す」。心配ごとを整理する方法を加えた小規模研究でも、不眠の重さや心配の軽減が示されています[4]。
まとめ
眠いのに眠れないときは、眠気不足ではなく、起きるスイッチが切れていない可能性があります。
まずは、ベッドで粘らない、起きる時刻を固定する、考えごとを紙に出す。この3つから始めましょう。眠れない日が週3回以上あり、それが3か月以上続く場合や、日中の支障が強い場合は医療機関へ相談してください。
<参考文献>
[1] Dressle RJ, Riemann D. J Sleep Res. 2023;32(6):e13928. doi:10.1111/jsr.13928
[2] Edinger JD, et al. J Clin Sleep Med. 2021;17(2):255-262. doi:10.5664/jcsm.8986
[3] Edinger JD, et al. J Clin Sleep Med. 2021;17(2):263-298. doi:10.5664/jcsm.8988
[4] Jansson-Fröjmark M, et al. Br J Clin Psychol. 2012;51(2):142-157. doi:10.1111/j.2044-8260.2011.02018.x
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。

