「ただの腰痛」と放置しないで…命に関わる病気が隠れている可能性も 医師が教える危険サイン【医師解説】

見逃してはいけない危険な腰痛の特徴と受診の目安について、まえだ整形外科リウマチクリニックの前田 俊恒院長に解説してもらいます。
医師紹介
肩こり・腰痛・関節痛などの慢性疼痛から、関節リウマチ、骨粗鬆症、スポーツ障害まで幅広く診療。日常生活に根ざした運動指導・セルフケアの啓発にも力を入れている。肩や膝、腰の痛みなど日常の体の不調や身近な健康情報についても、医学的根拠に基づいた分かりやすい解説を行っている。
目次
放置すると命に関わる可能性がある症状について教えてください
まれに「放置すると命に関わる病気」が腰痛として現れることがあります。

具体的に、腰痛には背景にどのような病気が隠れている可能性がありますか?
腹部大動脈瘤、肺がんや乳がん、前立腺がん、化膿性脊椎炎、子宮筋腫などの病気が隠れている可能性があります。

例えば、お腹の中にある太い血管がコブのように膨らむ「腹部大動脈瘤」という病気では、腰や背中が痛くなることがあります。万が一この血管が破裂すると命に関わるため、早めの発見がとても重要です。
また、肺がんや乳がん、前立腺がんなどが骨に広がると、腰の痛みとして現れることがあります。この場合は、安静にしていても痛みが続いたり、夜中に痛みで目が覚めたり、日に日に悪化するといった特徴があります。
さらに、細菌が背骨に感染する化膿性脊椎炎では、発熱や強い腰痛を伴うことが多く、放置すると感染が全身に広がることがあります。膵臓や腎臓の病気、尿路結石でも腰が痛くなることがあります。
女性では、子宮筋腫による骨盤内の圧迫などが原因で、腰痛や下腹部の重だるさを感じることがあります。
このように、「腰が痛い」といっても原因は一つではありません。
だからこそ、「いつもの腰痛だから」と決めつけず、痛み方や体調の変化にも目を向けることが大切です。
一時的な「腰痛」との見分けポイントを教えてください
普段とは違う腰の痛み方をしていると感じたら、注意が必要です。

一般的な腰痛は、動いたときに痛みが強くなり、休むと楽になることが多いです。また、湿布や痛み止め、ストレッチなどで少しずつ改善していくことがほとんどです。
一方で、注意が必要な腰痛には、いくつか特徴があります。
例えば、
- 何もしなくても痛い
- 寝ていても痛みが続く
- 夜中に痛みで目が覚める
- 日に日に痛みが強くなっている
- 痛み止めを飲んでも全く改善しない
このような場合は、筋肉だけが原因ではない可能性があります。
普段とは違う腰の痛み方をしていると感じたら、「様子を見よう」と我慢せず、医療機関で相談することが大切です。
どのような場合に受診を検討すべきでしょうか?
「足が動かしにくい」「排尿や排便がうまくできない」という症状がある場合、神経が強く圧迫されている可能性があり、急いで治療が必要になることがあります。

腰痛は数日で自然に良くなることも多いため、軽い痛みであれば慌てる必要はありません。
しかし、次のような場合には、一度医療機関を受診することをおすすめします。
- 熱がある
- 食欲がない
- 生理が長引く、量が多い
- 痛みが1~2週間以上続いている
- 日に日に痛みが強くなっている
- 夜中でも痛みが続く
- じっとしていても痛い
- 原因不明の体重減少がある
- 足のしびれや力が入りにくい
- 転んだあとから痛みが続いている
- がんの治療を受けたことがある
- 尿や便が出にくい、漏れてしまう
- 貧血を指摘されたことがある
特に、「足が動かしにくい」「排尿や排便がうまくできない」という症状は、神経が強く圧迫されている可能性があり、急いで治療が必要になることがあります。
また、高齢の方や骨粗しょう症のある方では、軽く転んだだけでも背骨が骨折していることがあります。「ぶつけただけだから大丈夫」と思っていても、実際には骨折しているケースもあるため注意が必要です。
腰痛の多くは命に関わるものではありませんが、「いつもと違う」「なかなか良くならない」と感じたときは、無理に我慢せず整形外科を受診しましょう。
早めに整形外科を受診することで、「心配のない腰痛」と分かれば安心できますし、万が一重大な病気が隠れていた場合でも、早い段階で治療につなげることができます。
関連記事
※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。


腰痛は、多くの人が一度は経験する、とても身近な症状です。重い物を持ったあとや、長時間同じ姿勢で仕事をしたあとに腰が痛くなることは珍しくありません。
このような腰痛の多くは、筋肉や関節への負担、姿勢の悪さ、運動不足が原因で、数日から数週間で良くなることがほとんどです。
しかし、まれに「放置すると命に関わる病気」が腰痛として現れることがあります。
例えば、突然の激しい腰痛が、お腹の太い血管の病気や、がん、細菌による感染症、女性の場合は婦人科の病気などのサインであることもあります。
「ただの腰痛だろう」と思って我慢していた結果、重大な病気の発見が遅れてしまうケースも決してゼロではありません。
もちろん、「腰が痛い=重大な病気」というわけではありませんので、必要以上に心配する必要はありません。ただし、「いつもと違う痛み」「安静にしていても痛い」「日に日に痛みが強くなる」といった症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
「たかが腰痛」と思わず、自分の体からのサインに耳を傾けることが大切です。