野菜ジュースは野菜の代わりになるの?「野菜ジュースでは補えない」意外な落とし穴【管理栄養士が解説】

一方で、「野菜ジュースは本当に野菜の代わりになるの?」「栄養はちゃんと摂れている?」と気になったことがある方もいるかもしれません。
今回は、野菜ジュースの特徴や注意点、上手な取り入れ方について、管理栄養士が解説します。
執筆

「食と健康に悩む人が安心して戻れる場所をつくる」をモットーに、栄養・健康分野の記事執筆を行う。延べ1,200名以上の食事相談に携わった現場経験をもとに、科学的根拠をわかりやすく日常の言葉に翻訳することを得意とする。沖縄県在住で琉球料理の普及・伝承活動も行っている。趣味は健康。
目次
そもそも、日本人はどれだけ野菜が不足しているのか?
野菜は、ビタミンA・C、葉酸、カリウム、食物繊維などを含む重要な食品です。
不足すると、腸内環境の乱れにつながるだけでなく、心臓疾患や脳卒中などのリスクにも関わることが指摘されています。
厚生労働省では、1日350g以上の野菜摂取を目標としています。これは、生野菜でいうと両手山盛り3杯分ほどの量です。
しかし、国民健康・栄養調査によると、日本人の野菜摂取量は平均256〜280g程度にとどまっており、多くの人が毎日70〜90gほど不足していると考えられています。
野菜ジュースで「食物繊維」は補えない?成分の落とし穴
こうした背景から、手軽に野菜を補える方法として、野菜ジュースに注目が集まっています。
では、野菜ジュースは本当に野菜の代わりになるのでしょうか?
まずは文部科学省データベースをもとに、トマトとトマトジュース(食塩無添加)で、いくつかの栄養価(すべて100gあたり)を比べてみましょう。
栄養素 | トマト(生) | トマトジュース |
|---|---|---|
β-カロテン | 540 μg | 310 μg |
ビタミンC | 15 mg | 6 mg |
カルシウム | 7 mg | 6 mg |
カリウム | 210 mg | 260 mg |
食物繊維 | 1.0 g | 0.7 g |
ジュースにすることで減る栄養素
同じ重量(100gあたり)で比較した場合、全体的にジュースの方が栄養価は劣ります。
特に、熱に弱いビタミンCは加工の過程で半分以下に、食物繊維は搾汁の工程で不溶性の繊維が取り除かれることで7割程度に減ってしまいます。
ジュースにしても変わらない栄養素
一方で、カルシウムやカリウムなどのミネラルは、ジュースに加工しても比較的失われにくい栄養素とされています。
カルシウムは、骨や歯の材料になるだけでなく、筋肉や神経の働きにも関わる栄養素です。また、カリウムは体内の余分な塩分を排出しやすくし、むくみ対策や血圧管理にも役立つ栄養素です。
吸収されやすくなる栄養素や腸内環境へのプラス効果も
一方で、野菜をジュースに加工することで、栄養素によっては体への吸収率が高まる場合もあります。これは、加工の過程で野菜の細胞壁が壊れ、栄養素が外に出やすくなるためです。
例えば、トマトに含まれるリコピンは約3.8倍、にんじんに含まれるβ-カロテンは約1.5倍、吸収率が高まったという研究も報告されています。
トマトやにんじんを原材料にしたジュースでは、上手にそれらの栄養素を摂取する方法となるでしょう。
また、2017年に発表された研究では、野菜ジュースに含まれるポリフェノールなどが、腸内の善玉菌を助けるような働きに関与する可能性も示されています。
野菜摂取の「サポート役」として取り入れるのがおすすめ
つまり、野菜ジュースには補いやすい栄養素もあれば、十分に補いにくい栄養素もあるということです。そのため、野菜ジュースだけで「今日の野菜はOK」と考えるのは、少し心もとないかもしれません。
一方で、野菜ジュースにはメリットもあるので、毎日の食事を基本にしながら、野菜不足を補うサポート役として、取り入れていきましょう。
野菜ジュースの上手な取り入れ方
野菜ジュースのメリットを活かすには、選び方やタイミングが大切です。ここでは、管理栄養士の視点から、意識したいポイントを紹介します。
野菜100%の商品を選ぶ
市販の野菜ジュースには、果物を使用した商品も多くあります。飲みやすい一方で、果物由来の糖質(果糖)が加わることで、糖質量が多くなりやすい点には注意が必要です。
野菜不足を補う目的で取り入れる場合は、「野菜100%」の商品を選ぶのがおすすめです。野菜由来の栄養素を補いやすく、糖質やカロリーも管理しやすくなります。
食塩無添加のものを選ぶ
トマトジュースなどには、飲みやすさを目的に食塩が添加されている商品もあります。しかし、塩分を摂りすぎると、むくみや血圧上昇の原因になることがあります。
そのため、日常的に飲む場合は食塩無添加の商品を選ぶと、塩分量をコントロールしやすくなります。
飲むタイミングは「食事と一緒」がおすすめ
野菜ジュースは、単独で飲むよりも食事と一緒に取り入れる方が、血糖値の急激な上昇を抑えやすくなります。
特に朝食時や、野菜が不足しやすい外食時に取り入れると、無理なく栄養を補いやすくなります。
一方で、夜遅い時間や就寝前は、活動量が少なくなる時間帯でもあります。飲み方によっては糖質の摂りすぎにつながることもあるため、飲みすぎを避け、できるだけ日中〜夕方までに取り入れるのがおすすめです。
まとめ
野菜ジュースは、リコピンやβ-カロテン、カリウムなどを手軽に補いやすい便利な存在です。
忙しい日や、野菜が不足しがちなときには、栄養補給のサポート役として役立ってくれるでしょう。
一方で、ビタミンCや食物繊維など、加工の過程で減少しやすい栄養素もあります。そのため、「野菜ジュースだけで十分」と考えるのではなく、毎日の食事を基本にしながら、不足分を補う形で上手に取り入れていきましょう。
<参考文献>
・厚生労働省 健康日本21アクション支援システム Webサイト「野菜1日350gで健康増進」
・文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年「野菜類/(トマト類)/加工品/トマトジュース/食塩無添加」
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