「たんぱく質」が不足すると体には何が起こる?見た目やメンタルの不調にも影響する重要な栄養素【医師解説】

たんぱく質が足りないと体にどのような変化が起こるのでしょうか。役割や不足のサイン、効率的な摂り方について、まえだ整形外科リウマチクリニックの前田 俊恒院長に解説してもらいます。
医師紹介
肩こり・腰痛・関節痛などの慢性疼痛から、関節リウマチ、骨粗鬆症、スポーツ障害まで幅広く診療。日常生活に根ざした運動指導・セルフケアの啓発にも力を入れている。肩や膝、腰の痛みなど日常の体の不調や身近な健康情報についても、医学的根拠に基づいた分かりやすい解説を行っている。
目次
たんぱく質は人体に対してどのような役割があるのでしょうか?
たんぱく質は私たちの体を作るために欠かせない栄養素であり、健康を維持するために必要な栄養素でもあります。

たんぱく質が不足すると、体にはどのような悪影響があるのでしょうか?
筋肉量が低下するだけでなく、美容面への悪影響、メンタルの不調にも関わってきます。

たんぱく質が不足すると、まず起こりやすいのが「筋肉量の低下」です。
筋肉は、歩く・立つ・姿勢を保つなど、日常生活の動きに欠かせません。そのため、たんぱく質不足が続くと、
- 疲れやすい
- 階段がつらい
- つまずきやすい
- 力が入りにくい
といった症状が出やすくなります。
とくに高齢者では、筋肉量や筋力が低下する「サルコペニア」や、体力が落ちて介護が必要になりやすい「フレイル」につながることがあります。
また、たんぱく質は免疫にも関係しているため、不足すると風邪をひきやすくなったり、傷が治りにくくなったりすることもあります。
さらに、
- 髪の毛が細くなる
- 爪が割れやすい
- 肌のハリがなくなる
- むくみやすくなる
- 集中力が低下する
といった美容面への影響が出ることもあります。
最近では、極端なダイエットで食事量を減らしすぎた結果、筋肉まで落ちてしまう方も少なくありません。体重だけを減らそうとすると、代謝が下がり、かえって「痩せにくい体」になってしまうこともあるため注意が必要です。
加えて、脳内の神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)はアミノ酸(たんぱく質が分解されたもの)から作られるため、たんぱく質不足は「気分の落ち込み(うつ傾向)」「イライラ」といったメンタル不調や、「集中力や記憶力の低下」を引き起こす可能性もあります。
自身がたんぱく質不足かどうかを知るためのサインがあれば教えてください
正確に知るには血液検査の必要がありますが、日常生活でサインに気づくこともできます

たんぱく質不足は、知らないうちに進んでいることもあります。とくに忙しい方や高齢者では、「食べているつもりでも足りていない」ケースが少なくありません。
たんぱく質不足は、血液検査をしなければ完全には分からない部分もありますが、日常生活で気づきやすいサインとしては、
- 疲れやすい
- 以前より筋力が落ちた
- 階段がしんどい
- つまずきやすくなった
- 髪の毛が細くなった
- 爪が割れやすい
- 肌のハリがなくなった
- 傷が治りにくい
- 甘いものや炭水化物が無性に食べたくなる
などがあります。
また、食事内容を振り返ってみることも大切です。
例えば「朝はパンだけ」、「麺類だけで済ませることが多い」、「肉や魚、卵、大豆製品をあまり食べない」という方は、たんぱく質が不足している可能性があります。
とくに高齢者では、食が細くなって知らないうちにたんぱく質不足が進みやすく、筋力低下につながることがあります。
最近では、「体重」だけでなく「筋肉量」を維持することが健康寿命に重要とされています。「なんとなく体力が落ちた」と感じる場合は、食事内容を見直すことも大切です。
たんぱく質を効率的に摂取する方法について教えてください
朝・昼・夜の毎食、こまめに取り入れることがポイントです。プロテインパウダーやプロテインバーはあくまで「補助食」として考えましょう。

たんぱく質を効率よく摂るためには、「毎食こまめに取り入れる」ことがポイントです。
たんぱく質は、一度に大量に食べれば良いというものではありません。体の中で少しずつ利用されるため、朝・昼・夜に分けて摂る方が効率的です。
たんぱく質を多く含む食品には、
- 肉
- 魚
- 卵
- 牛乳やヨーグルト
- 豆腐や納豆などの大豆製品
があります。
肉・魚・卵・乳製品などの「動物性たんぱく質」は、体内での利用効率(アミノ酸スコア)が高い反面、脂質の摂りすぎに繋がりやすい性質があります。
一方、大豆製品などの「植物性たんぱく質」は低脂質で食物繊維も含みますが、一部のアミノ酸が不足しがちです。毎食どれか1つでも入れる意識を持つとよいでしょう。
とくに朝食は、パンやおにぎりだけで済ませてしまう方も多いですが、そこにゆで卵やヨーグルト、チーズ、納豆などを加えるだけでも、たんぱく質不足予防につながります。
また、高齢者では「食べているつもりでも足りていない」こともあるため、少量でもこまめに摂ることが大切です。
たんぱく質(アミノ酸)の代謝をサポートするビタミンB6(マグロ、カツオ、レバー、バナナ、玄米などに豊富)を一緒に摂ることで、体内での合成がスムーズになります。また、適度な糖質を同時に摂ることでインスリンが分泌され、筋肉へのアミノ酸の取り込みが促進されます。
少食の方や、忙しくて食事から十分な量が摂れない場合は、プロテインパウダーやプロテインバーを活用するのも現代の賢い選択です。ただし、これらはあくまで「補助食品」ですので、3食の通常の食事をベースに据えることを忘れないようにしましょう。
さらに、筋肉を維持するためには、たんぱく質だけでなく適度な運動も重要です。ウォーキングや軽い筋トレを組み合わせることで、摂取したたんぱく質が筋肉に利用されやすくなります。
「しっかり食べて、しっかり動く」ことが、健康的な体づくりにつながります。
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。


たんぱく質は、炭水化物・脂質と並ぶ「エネルギー産生栄養素(三大栄養素)」のひとつであり、私たちの体を作るために欠かせない栄養素です。
筋肉のイメージが強いかもしれませんが、じつはそれだけではありません。皮膚、髪の毛、爪、内臓、血液、さらには骨やホルモン、免疫細胞まで、体のさまざまな部分はたんぱく質を材料にして作られています。
例えば、運動をして筋肉を使ったあとに筋肉が回復するのも、風邪をひいたときに免疫が働くのも、たんぱく質が関係しています。ケガをしたときに傷が治る過程でも、たんぱく質は重要な役割を担っています。
また、年齢を重ねると筋肉は自然に減っていきます。そのため、とくに高齢者では、たんぱく質不足によって筋力が落ち、転びやすくなったり、疲れやすくなったりすることがあります。
つまり、たんぱく質は「体を作る材料」であると同時に、「健康を維持するために必要な栄養素」でもあるのです。