病院・薬局検索の病院なび

【睡眠の質を上げる方法】やってはいけない3つの習慣と今日からできる改善法

公開日: 2026年05月11日
アイキャッチ画像
「8時間寝ているのに疲れが取れない」「朝起きるのがつらい」――そんな感覚、ありませんか。

睡眠は時間だけでなく、質も大切なのだと思います。寝具を替えたり環境を整えたりしなくても、日々の行動を少し変えるだけで、眠りの深さは変わることがあります。

医師紹介

前田 佳宏の画像
前田 佳宏院長
精神科/心療内科医
精神保健指定医

大人と子どもの双方で、トラウマや愛着障害に心理療法的アプローチを用いる医師。これまでのべ3,000人以上の臨床に携わる。東京大学医学部附属病院精神神経科に入局後、東京警察病院や国立精神神経医療研究センター等を経て、児童精神科外来を3年間、トラウマ専門外来を2年間担当。著書『泣きたくなったら壁を押せ』(サンマーク出版、2026年)では、心理療法のプロセスを物語として描き、私たちの感情の奥にある“適応の物語”をたどった。その視点をともに探る場として、オンラインコミュニティ「しなここメイト」を主宰。cotree顧問医。産業医。日本小児精神神経学会所属。

Xアカウント:@maemae_med(まえまえ医師)

睡眠の質とは?時間だけでは決まらない理由

睡眠の質は、「何時間寝たか」だけでは測れません。睡眠の連続性、入眠潜時、中途覚醒の回数、睡眠効率、主観的満足度といった複数の要素で決まります。

そして近年、注目されているのが睡眠の規則性です。

英国バイオバンク約8万人の観察研究(Li et al., 2025)では、毎日の睡眠リズムが安定している人は、不規則な人と比べて、うつ病リスクが約38%、不安障害リスクが約33%低いことが示されました。

一方、睡眠時間が推奨範囲(7–9時間程度)に入っていても、就寝・起床時刻のばらつきが大きい人では抑うつ・不安のリスクが高い傾向がみられました。

まずやめたい!睡眠の質を下げる3つのNG習慣

  1. 就寝直前のスマホ・タブレット使用

    スマートフォンやタブレットから出るブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑え、体内時計を後ろにずらします。就寝前に電子書籍リーダーを使った人は、紙の本を読んだ人より入眠が遅れ、翌朝の目覚めも悪かったことが実験で確認されています(Chang et al., 2015)。

  2. 就寝時刻のばらつき(ソーシャル・ジェットラグ)

    平日と休日で寝る時間が大きくずれる状態を「ソーシャル・ジェットラグ」と呼びます。体内時計と社会生活のリズムがずれることで、慢性的な睡眠不足や睡眠の質低下につながります。休日の「寝だめ」は自然な欲求ですが、平日との差は2時間以内に抑えると体内時計が乱れにくくなります。

  3. ベッドの上での覚醒行動

    ベッドを「眠る場所」以外に使うと、脳が「ベッド=覚醒する場所」と学習してしまいます。これは刺激制御理論と呼ばれ、不眠症の認知行動療法(CBT-I)でも重視される考え方です。ベッドでSNSや仕事をする習慣が続くと、布団に入っても脳が興奮状態のままになりやすくなります。

今日からできる!睡眠の質を上げる3つの行動

  1. 起床時刻を固定する

    毎日同じ時刻に起きることは、睡眠の質を高める最も基本的な方法です。起床時刻を一定にすると体内時計が整い、夜の入眠もスムーズになります。休日も同じ時刻が理想ですが、難しければ平日との差を2時間以内に抑えましょう。CBT-Iの研究(Furukawa et al., 2024)でも、こうした刺激制御とルーティン化が睡眠の質改善に有効であることが示されています。

  2. 朝の光を浴びる

    起床後、できるだけ早く明るい光を浴びることで、体内時計がリセットされます。ブラジルの研究(de Menezes-Júnior et al., 2025)では、午前10時前に30分間太陽光を浴びることで、睡眠の中間点(就寝と起床の真ん中の時刻)が約23分前にずれて、生活リズムが前に整うことが示されました。

  3. 心配事を書き出す

    就寝前5分間、翌日やるべきことを具体的にリスト化すると、入眠が早まることがポリソムノグラフィーを用いた実験で確認されています(Scullin et al., 2018)。「仕事をする」ではなく「9時に会議資料を印刷する」という形で書くと、脳が「明日のことは書いた、今は休んでいい」と切り替えやすくなります。

まとめ

すべてを同時に変える必要はありません。まずは1つだけ試してみてください。小さな行動の積み重ねが、あなたの眠りを少しずつ変えていくはずです。

【参考文献】
Li DR, et al. Psychological Medicine. 2025;55:e239.
Chang AM, et al. PNAS. 2015;112(4):1232-7.
Furukawa Y, et al. JAMA Psychiatry. 2024;81(4):357-365.
de Menezes-Júnior LAA, et al. BMC Public Health. 2025;25(1):3362.
Scullin MK, et al. Journal of Experimental Psychology: General. 2018;147(1):139-146.

関連記事

※記事の内容は記載当時の情報であり、現在と異なる場合があります。