口内炎がなかなか治らない原因は?重大疾患の可能性もある放置NGの危険サインとは【医師解説】

口内炎ができる主な原因や経過の目安、悪化を防ぐための注意点、さらに「なかなか治らない場合」に考えられる背景や受診の目安について、医療法人社団D&Jの平野大輔 理事長に解説してもらいました。
医師紹介

2009年新潟大学歯学部卒業。2014年3月「地域に貢献する医院でいよう」「100年つづく医院をつくろう」「一生感謝される人材育成をしよう」という3つの理念を掲げ、医療法人社団D&Jを設立。新潟市内に、ひらの歯科医院、新潟西歯科クリニック、入船みなと歯科の3つのクリニックを構え、口の中が健康であるからこそ、全身が健康になると言うことを患者様一人ひとりにお伝えしている。
目次
「口内炎」が発生する原因について教えてください
口内炎はいろいろな原因で起こります。原因の明らかなものもあれば、あまり明らかでないものもあります。
以下、口内炎の原因になりうる事象についてそれぞれ説明します。
1. 物理的な刺激・外傷
口の中の粘膜がダメージを受けることによって、口内炎が発生することがあります。具体的には以下のようなケースが考えられるでしょう。
- 食事中に頬の内側や舌を噛んでしまうなど、不注意による噛み傷
- 矯正器具や入れ歯が粘膜に触れて、常にこすれている状態
- 熱い食べ物による火傷(粘膜の損傷)から炎症に発展
2. 生活習慣・体調不良
体内環境の不調和から口内炎が生じることがあります。
- ビタミン(とくにビタミンB2、B6、B12やビタミンC)や、鉄分が不足すると粘膜の再生能力が落ち、口内炎が発生しやすくなります
- 睡眠不足やストレスを抱えると、免疫力が低下し、口内の細菌バランスが崩れやすくなります
- 暴飲暴食などで消化器系に負担がかかると、口内炎として現れることがあります
3. 全身疾患や感染症
口内炎の原因にウイルスや細菌、あるいは特定の病気が隠れているケースもあります。
- ヘルペスウイルス(ヘルペス性口内炎)や、カビの一種であるカンジダ菌など。
- ベーチェット病など、体が自分自身を攻撃してしまう病気(自己免疫疾患)の症状として口内炎が現れることがあります。
4.その他の要因
- 歯磨き粉の成分のひとつである「ラウリル硫酸ナトリウム」などの発泡剤が刺激となり、口内炎が発生する人もいます
- 女性の場合、生理前や妊娠期にホルモンバランスが変化することで、口内炎ができやすくなることがあります
一般的に「口内炎」は発生から完治までどれくらいかかるのでしょうか?
一般的な口内炎は、患部が白くて丸い「アフタ性」と呼ばれるもので、以下のステップを辿りながら1~2週間程度で自然に治ります。
・1〜3日目(発生期)
赤く腫れ始め、徐々に中心が白くなっていきます。この時期がもっとも痛みを感じやすく、食べ物がしみると辛い時期です。
・4〜7日目(停滞・回復期)
炎症の大きさがピークを迎え、その後少しずつ痛みが和らぎ始めます。
・10日〜14日目(完治)
白い部分(潰瘍)が消失し、粘膜が元のピンク色に戻ります。
「口内炎」ができたときにやってはいけないことを教えてください
口内炎ができたときに避けてほしいことは、以下のとおりです。
1.指や舌で触る、潰そうとする
手や口内の雑菌が傷口に入り込み、二次感染を起こして炎症が深くなってしまいます。口内炎は気になっても「触らない」のが鉄則です。
2.刺激物の摂取(辛い・酸っぱい・熱い)
香辛料(唐辛子など)、柑橘類(レモンなど)、塩分の強いもの、熱すぎる飲み物は、化学的・物理的な刺激となり、激痛を誘発するだけでなく組織の修復を遅らせます。
3.アルコールでの消毒(お酒を飲む)
お酒に含まれるアルコールは、粘膜を乾燥させ、細胞の修復を妨げます。また、血管が拡張して痛みが増すこともあります。
4.激しいうがい、過度な歯磨き
殺菌力の強すぎるマウスウォッシュ(アルコール含有タイプ)は、健康な粘膜まで傷つけてしまうことがあります。また、歯ブラシが患部に当たると炎症が広がります。
5.喫煙
ニコチンなどの成分が血管を収縮させ、血流を悪くします。粘膜の再生に必要な栄養や酸素が届かなくなり、完治が大幅に遅れます。
「口内炎がなかなか治らない」場合、どのような原因が考えられますか?
口内炎が2週間以上経っても治らなかったり、何度もくり返したりする場合、通常のアフタ性口内炎ではない可能性があります。
たとえば、口の中にカビ(真菌)が増殖する「口腔カンジダ症」では患部が白い膜が張ったようになり、無理に剥がすと赤く腫れます。「ヘルペス性口内炎」は小さな水ぶくれが密集し、強い痛みを伴うのが特徴です。
また、とくに警戒したいのが口内炎に似た別の病気のケースです。
「痛くない口内炎」や「境目がはっきりしないしこり」は要注意です。口腔がん(舌がんなど)の可能性が考えられます。2週間以上経過しても形が変わらない、あるいは硬くなっている場合は早急な受診が必要です。
また、口内炎が何度も再発する、数が多い場合はベーチェット病などの自己免疫疾患や、深刻なビタミン欠乏症が隠れていることがあります。
「口内炎がなかなか治らない」場合の受診目安について教えてください
「ただの口内炎だろう」と放置してしまいがちですが、受診のタイミングを見極めることは非常に重要です。
専門医が推奨する「受診すべき明確なサイン」をまとめました。これらにひとつでも当てはまる場合は、早めの受診を検討してください。
・2週間以上経過しても改善しない
これが最も分かりやすい基準です。通常の口内炎であれば、10日〜14日もあれば自然に治癒に向かいます。2週間経っても「小さくならない」「痛みが引かない」場合は、単なる炎症ではない可能性があります。
・痛みがない、または異常に強い
じつは一番注意が必要なのは「痛くない口内炎」です。初期の口腔がんは、痛みがないまま「しこり」や「ただれ」として現れることが多いからです。
逆に、眠れなかったり、水を飲むのも困難なほど痛みが強い場合は、ウイルス感染(ヘルペスなど)や重度の炎症の疑いがあります。
・1cm以上の大きさ、境界が不鮮明
直径が1cmを超えるような大きな潰瘍(大アフタ)は、治りにくく跡が残ることもあります。また、丸型や楕円ではなく、形が崩れていたり、表面がカリフラワー状にボコボコしていたりする場合も要注意です。
・一度にたくさんできる、広がる
5〜10個以上の口内炎が一度にできたり、喉の奥や唇の裏まで広がったりする場合は、全身性の感染症や自己免疫疾患(ベーチェット病など)の可能性があります。
・発熱や倦怠感を伴う
口内炎だけでなく、「熱がある」「喉が腫れている」「皮膚に発疹が出ている」といった症状が重なる場合は、ウイルス感染や内科的な疾患が疑われます。
なお、口内炎で受診をする場合、基本的には「歯科・口腔外科」または「耳鼻咽喉科」が専門です。以下を参考にしてみてください。
- 歯科/口腔外科:歯が当たっている、入れ歯が合わないなどの物理的な原因が疑われる場合や、口の中の状態を詳しく診てほしい時
- 耳鼻咽喉科:喉の痛みや鼻の症状、発熱などを伴う場合
- 内科:胃腸の不調や、全身の倦怠感などが強い場合
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。
