「脳卒中」に前兆はあるの? 医師が警告する“見逃してはいけない初期症状”とリスクを高める生活習慣【医師解説】

脳卒中の前兆や危険因子、予防について、たいや内科クリニックの加藤大也(かとう たいや)院長に解説してもらいました。
医師紹介
愛知県豊田市にある糖尿病や生活習慣病、甲状腺疾患の専門クリニックで、日本糖尿病学会認定教育施設に認定されている「たいや内科クリニック」の院長。糖尿病専門医・甲状腺専門医・総合内科専門医である院長のもと、専門看護師や管理栄養士が連携した「チーム医療」を提供。定期的な料理教室や市民講座の開催を通じて、病気の治療だけでなく、地域住民の皆様の健康増進や予防医療にも力を入れている。
目次
「脳卒中」とはどのような病気なのでしょうか?
脳卒中とは、脳の血管が詰まる、または破れることで、脳の細胞に障害が起こる病気の総称です。

「脳卒中」の前兆や見逃してはいけないサインはありますか?
脳卒中は、前触れなく突然起こることがあります。一方で、脳梗塞の前触れとして、一時的に症状が出て、しばらくすると消える「一過性脳虚血発作(TIA)」が起こることがあります。症状が消えたからといって安心はできません。

TIAは、その後に脳梗塞を起こす可能性を知らせる重要なサインです。
見逃してはいけない症状は、顔の片側が下がる、片腕に力が入らない、ろれつが回らない、言葉が出ない、片側の手足がしびれる、片目が見えにくい、視野の一部が欠ける、急にふらつく、経験したことのない激しい頭痛が出る、などです。
覚えておきたいのは「FAST」です。
Faceは顔のゆがみ、Armは腕の脱力、Speechは言葉の異常、Timeはすぐに救急車を呼ぶこと。
数分で症状が治まっても、「治った」と判断しないでください。脳卒中では、迷っている時間が脳の細胞を失う時間になります。
「脳卒中」の発症リスクを高めやすい生活習慣にはどのようなものがありますか?
脳卒中の大きな危険因子の一つは、高血圧です。血圧が高い状態が続くと、脳の血管に負担がかかり、血管が詰まったり破れたりしやすくなります。

特に日本人では、塩分の取り過ぎが高血圧につながりやすく、脳卒中予防では減塩が大切です。
生活習慣では、塩分の多い食事、野菜不足、運動不足、肥満、喫煙、過度の飲酒、睡眠不足などがリスクを高めます。ラーメンの汁、漬物、加工食品、外食、惣菜が多い生活では、知らないうちに塩分が多くなりがちです。
また、糖尿病、脂質異常症、心房細動などの不整脈を放置することも危険です。
糖尿病や脂質異常症は動脈硬化を進め、心房細動では心臓にできた血のかたまりが脳の血管に飛び、脳梗塞を起こすことがあります。
脳卒中は突然起こりますが、血管への負担は毎日の生活の中で積み重なっています。
「脳卒中」を予防するために、今日からできる生活習慣の改善ポイントを教えてください。
脳卒中予防で最も大切なのは、血圧を適切に管理することです。

まずは家庭で血圧を測り、自分の普段の血圧を知ることから始めましょう。高血圧を指摘されている方は、自己判断で薬を中断せず、医師と相談しながら治療を続けることが重要です。
食事では、減塩を意識してください。汁物は具だくさんにして汁を残す、ラーメンの汁を飲み干さない、漬物や加工食品を控えめにする、しょうゆやソースは「かける」より「つける」。小さな工夫でも、続ければ血管への負担は変わります。
運動は、いきなり激しいことをする必要はありません。今より10分多く歩く、階段を使う、食後に軽く体を動かすことから始めましょう。禁煙も脳卒中予防において非常に大きな一歩です。
飲酒は量を控え、糖尿病、脂質異常症、心房細動がある方は治療を継続してください。
そして、顔のゆがみ、腕の脱力、言葉のもつれが出たら、迷わず救急車を呼ぶこと。生活を整えることと、異変に早く気づくこと。その両方が、大切な脳と人生を守ります。
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。


血管が詰まる「脳梗塞」、脳の中で血管が破れる「脳出血」、脳の表面で出血が起こる「くも膜下出血」などが含まれます。
おもな症状は、片側の手足や顔のまひ、ろれつが回らない、言葉が出ない、相手の言葉が理解しにくい、片目または視野の一部が見えにくい、ふらつく、まっすぐ歩けない、突然の激しい頭痛、意識がぼんやりするなどです。
重要なのは、これらが「突然」起こることです。
重症化すると、命に関わるだけでなく、手足のまひ、言語障害、飲み込みにくさ、認知機能の低下、寝たきりなどの後遺症が残ることがあります。
脳卒中は「様子を見る病気」ではありません。早く気づき、早く救急車を呼び、早く治療につなげることが、その後の人生を守る力になります。