「ストロング系チューハイ」は体に悪い? 飲みすぎにつながりやすい理由、健康への影響とは【医師解説】

医師紹介
日本総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本内視鏡学会専門医、日本人間ドック健診専門医、日本病態栄養学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。ブロッコリースプラウト研究の第一人者として英論文2本を発表し、CMにも出演。2024年秋、メタボとロコモを同時予防管理する未来志向型クリニックを東京・用賀の地に開業。
目次
いわゆる「ストロング系チューハイ」は、医学的にはどのような点が問題視されることがあるのでしょうか?
アルコール度数が高いにもかかわらず、人工甘味料や香料によって飲みやすく設計されており、飲酒量を自覚しにくい、依存症へつながりやすいことなどが懸念されています。

アルコール度数が高いお酒を日常的に飲むことで、体にはどのような影響が出る可能性がありますか?
肝臓を中心に全身にさまざまな悪影響があります。また、精神面の悪化を招くこともあります。

高濃度アルコールの習慣飲酒は、肝臓を中心に全身にさまざまな悪影響を及ぼします。
肝臓では脂肪肝が進行しやすく、炎症を繰り返すことで肝硬変や肝がんのリスクが高まります。また、アルコールは血圧を上昇させ、心房細動などの不整脈を誘発することが知られています。
脳への影響としては、判断力低下、記憶障害、睡眠の質の悪化が挙げられ、精神面では不安や抑うつの悪化を招くことがあります。
さらに、耐性がつきやすく飲酒量が増え、依存症へ進行するリスクも高まります。
アルコール度数が高いお酒はさまざまな種類がありますが、それらと比べて「ストロング系チューハイ」の健康への悪影響は大きいでしょうか?
健康への悪影響は大きいと考えられます。また、価格が安く入手しやすいため、習慣化しやすいというリスクもあります。

ストロング系チューハイは、同じアルコール量を含む焼酎やウイスキーよりも健康への悪影響は大きいと考えられます。
理由は、甘味料や香料によってアルコールの刺激が隠され、ジュースのように飲めてしまうため、飲酒量の自己管理が難しくなる点にあります。
さらに、「糖質ゼロ」という表示が健康的な印象を与え、実際にはアルコール自体が高カロリーであるにもかかわらず、安心して飲み続けてしまう傾向があります。
また、価格が安く入手しやすいため、習慣化しやすく、結果として肝臓病や生活習慣病の悪化につながるリスクが高まります。
ストロング系チューハイは「飲みやすい」と言われますが、なぜ飲みすぎにつながりやすいのでしょうか?
人工甘味料や香料がアルコールの苦味や刺激を強くマスクし、清涼飲料水のように飲めてしまうためです。

ストロング系チューハイが飲みすぎにつながるのは、人工甘味料や香料によってアルコールの苦味や刺激が強くマスクされ、清涼飲料水のように飲めてしまうためです。
甘味刺激は脳の報酬系を活性化し、飲酒行動を強化するため、飲むスピードが速くなり、短時間で大量のアルコールを摂取しやすくなります。
また、「糖質ゼロ」という表示が心理的ハードルを下げ、健康的だと誤解して飲み続けてしまうことも一因です。結果として、血中アルコール濃度が急上昇し、肝臓や脳への負担が大きくなり、依存症のリスクも高まります。
アルコールの悪影響以外で「ストロング系チューハイ」が体に何かしらの害を与える場合はあるでしょうか?
多くの商品で使われている人工甘味料は、食欲増進などを招く可能性があります。また、アルコール自体が高カロリーなのも注意が必要です。

糖質ゼロではないストロング系も存在しますが、ストロング系はアルコール度数が高く、味が強くなりがちです。 そのため、甘味でアルコールの刺激をマスクする必要があるため、人工甘味料が多用されます。
そこで、砂糖の代わりにアセスルファムKやスクラロースなどの人工甘味料を使用すると、糖質を増やさずに強い甘味をつけることができ、結果として「糖質ゼロ」と表示するものが多くみられます。
人工甘味料は腸内細菌叢への影響や甘味依存の強化が指摘されており、食欲増進や体重増加につながる可能性があります。
また、アルコール自体が高カロリーであるため、糖質ゼロでも総摂取カロリーが増え、脂肪肝やメタボリックシンドロームを悪化させることがあります。
健康への影響を考えた場合、お酒とどのように付き合うのが望ましいのでしょうか?
飲む量を事前に決め、水と交互に飲むことで悪酔いを防ぎ、週2〜3日の休肝日を設けましょう。

健康を守るためには、純アルコール量を意識し、飲酒量と頻度をコントロールすることが重要です。
一般的には、男性は1日20g、女性は10gを超えない範囲が適量とされ、ストロング系のような高濃度飲料は少量でも適量を超えやすいため注意が必要です。
また、飲む量を事前に決め、水と交互に飲むことで悪酔いを防ぎ、週2〜3日の休肝日を設けることが肝臓の回復に役立ちます。
飲酒が習慣化している場合は、生活リズムやストレスとの関係を見直し、必要に応じて医療機関に相談することも大切です。
ストロング系チューハイのような高アルコール飲料が手軽に飲まれる現代は、酒の歴史から見ても特異な状況と言えます。
本来の酒は味わいを楽しみながらゆっくり嗜むものであり、強さと飲みやすさを同時に追求した商品は、その王道から外れているようにも感じられます。
アルコールを好む人が本当に求める酒なのか疑問は残りますが、いずれにしても飲みすぎが健康に良くないことは変わりません。酒との距離を静かに見直すことが求められる時代になっています。
関連記事
※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。


ストロング系チューハイは、アルコール度数が高いにもかかわらず、人工甘味料や香料によって飲みやすく設計されている点が医学的に問題視されます。
350ml缶1本で日本酒1合に相当する純アルコール量を含み、短時間で血中アルコール濃度が上昇しやすいため、肝臓への負担が大きく、脂肪肝・肝炎・肝硬変のリスクを高めます。
また、飲みやすさゆえに飲酒量を自覚しにくく、依存症につながりやすいことも懸念されます。さらに、価格が安く入手しやすいため、習慣化しやすい点も医学的リスクを高める要因です。