鼻づまりで「味がしない」のはなぜ? 耳鼻科医が教える原因と対処法【医師解説】

医師紹介
日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会専門医。日本東洋医学会、日本耳鼻咽喉科漢方研究会会員。医療法人三香会なのはな耳鼻咽喉科理事長。筑波大学医学専門学群卒。耳鼻咽喉科診療のかたわら、2007年に漢方と出会い伊藤隆先生、今中政支先生、小川恵子先生らに師事。西洋医学と東洋医学のハイブリッド治療で外来診療を行う。モットーは「ちゃんと診察、ちゃんと診断」。
目次
「鼻づまり」のとき、鼻の内部では何が起きているのでしょうか?
多くの鼻づまりは、下鼻甲介と呼ばれる粘膜が腫れることによって起こります。

「鼻づまり」で味がしなくなる仕組みを教えてください
鼻づまりが原因で風味障害が起こり、味覚が鈍くなるためです。

一般的に味覚は口(大半が舌)で感じますが、鼻づまりにより嗅覚が障害されると風味障害が起こり、味覚が鈍くなります。
嗅覚を遮断すると、味蕾(みらい)と呼ばれる舌のセンサーだけで味を捉えることになるため、コクや香りが分からなくなり、「味がしない(無味乾燥に感じる)」という現象が起きるわけです。
給食のときに、苦手な食べ物を鼻をつまんで食べていた生徒が一人くらい教室にいなかったでしょうか? あれは、鼻づまりによって味がしなくなる仕組みを応用したものと言えるでしょう。
「鼻づまり」以外の原因で味覚障害が起きることはありますか?
臨床的に一番多いのは薬剤性の味覚障害。それ以外に、特定の栄養の欠乏が原因になっているケースもあります。

鼻づまりがないのに味覚障害が起こるのは風味障害ではなく、純粋な味覚障害の可能性が考えられます。
臨床的に一番多いのは薬剤性の味覚障害(薬の副作用)ですが、近年は亜鉛欠乏症も原因として注目されています
舌にある味を感じる細胞(味蕾)は、短いサイクルでどんどん生まれ変わっています。この再生に不可欠な栄養素が「亜鉛」です。偏食やダイエット、加齢などで亜鉛が不足すると、細胞の再生が追いつかなくなり、味覚障害が起こります。
その他にも、最近は少なくなりましたが新型コロナウイルス感染症による味覚障害、非常にまれなケースとして中枢性の味覚障害(脳のレベルで味覚を感じられない)などがあります。
一時的に「鼻づまり」を解消する方法を教えてください
温める、とくにつまっている方を下にして寝る、などがおすすめです。

おすすめは、鼻を温める(温熱効果) です。
蒸しタオルを鼻の付け根に当てて温めたり、温かいお茶の湯気を鼻から吸い込んだりします。血流が一時的に改善され、粘膜のうっ血やガチガチに固まった鼻水が緩みます。
また両方とも鼻がつまっているが、片方の鼻がとくにつまっている場合は、つまっている方を下にして寝ると、反対側の鼻が通りやすくなります。
重力により下にしたほうに血流がいき、上にした側の粘膜が収縮するのを利用したものです。
「鼻づまり」が起きたときにやってはいけないことを教えてください
不必要に強くかむ、市販の点鼻薬の連用は行わないようにしましょう。

■鼻を不必要に強くかむ
鼻と耳は耳管(じかん)という管でつながっていますが、必要以上に鼻を強くかむことで、鼻腔にあるウイルスや細菌が耳管を通って中耳まで送り込まれて、中耳炎となるリスクがあります。
■市販の点鼻薬の連用
臨床の場で多く見受けられるものです。市販の鼻づまり用点鼻薬には、ナファゾリンなどの血管収縮薬が含まれているものがあります。使用することで鼻粘膜が強制的に収縮し一時的に鼻づまりが改善されます。
短期的に使用する分には全く問題ありませんが、長期連用(4~6週以上)した場合、鼻粘膜が分厚くなり肥厚性鼻炎(または点鼻性鼻炎)という状態になり鼻づまりが悪化します。
鼻づまりが悪化するので点鼻薬を使う→一時的に鼻づまりが改善→副作用で鼻づまり→点鼻薬を使うという負のループに陥ります。
ちなみに商品には用法用量が書かれているのですが、しっかりと見ている方は多くないようです。市販薬とはいえ副作用があるので使いすぎには注意しましょう。
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。


鼻の中は空洞ではなく、甲介(こうかい)と呼ばれる粘膜の棚のようなものがあります。これは鼻粘膜の表面積を広げる効果と、鼻腔内の空気の流れをよくする効果があります。
多くの鼻づまりは、この甲介の中でも最大の下鼻甲介(かびこうかい)の粘膜が腫れ、空気の流れが妨げられることによって起こります。
アレルギー性鼻炎などで鼻づまりが薬を飲んでも治らない症例の場合は、下鼻甲介をレーザーで焼いたり、下鼻甲介の粘膜を削る手術を行ったりすることがあります。